第29Q 甘い旨い蜜の味 赤司side ページ31
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赤司side
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―――
無我夢中で
あの瞬間我に返らなかったら、僕は間違いなく死ぬまで味わい続けただろう。
そうならなかったのは、首筋をも濡 らしていたAの涙。
……泣かせるつもりなどなかった。
僕の魔力で身体の自由を封じられたAは、心底おびえたまなざしで僕を見て。
きっとその心に刻み込んだんだ。
……ヴァンパイアへの恐怖心、僕への
――そう思ったら、身体が勝手に動いていた。
「……ここ、は…」
次の瞬間僕が降り立ったのは見覚えのある部屋の中だった。
ここは魔界のヴァンパイア領、その中でも一番奥地にある屋敷。
……僕が生まれ育った王の屋敷の一室である。
(帰って、これたのか)
あまりに性急に血を啜ったせいか、頭の芯がくらくらする。
そう思いながら僕の身体は部屋の中にある一番大きいソファに倒れこむように身体をあずけた。
一月と少ししか空けてないはずなのに、この空気がひどく懐かしい気がした。
でも次の瞬間、圧倒的に足りない何かを無意識に探し始めている自分もいる。
……あいつが、Aがいない。
Aの気配がしない。
Aの香りもない。
この部屋にあるのはただ無機質な家具ばかり。
それと、僕と同じヴァンパイアの少しだけ
気配ばかりを感じ取ってしまって。
……帰りたい、と。
無性にそう思った。
――僕がそうやって、
しばらくぼんやりと天井を眺めていると、廊下にかすかな足音が響いているのを感じた。
そして、ドアに視線を向けたと同時にガチャリと音が響き。
「……赤司君！」
そう呼ぶテツヤの声に、僕は何も答えなかった。
というより、答えられることなど僕には何もない。
ただここにいる、それだけが正確な答えだった。
「……いつお帰りに？」
予想通りの質問に、僕はあらかじめ用意していた模範解答で返す。
「ついさっきだ」
「――では、呪いは、……解けたんですね…？」
テツヤの問いかけに僕は頷き、再び天井を眺める。
「あいつの、――Aの血を啜った」
そう言った瞬間、部屋の空気が凍った気がした。
白い首筋に残してきた傷跡。
甘露のように甘い血の味。
涙で濡れた、Aの顔。
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ゆあ - すごくキュンキュンしました！ ヤバイですね！ これからも頑張ってください！ (2017年3月16日 22時) (
レス) id: 8e5932bb74 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - 吸血鬼の赤司がかっこいいです。 応援しています！ 頑張って下さい^ ^ (2017年2月14日 6時) (レス) id: bf74db187f (このIDを非表示/違反報告)
かずみ - いえいえ！はい！続編おめでとうございます。 (2015年6月7日 14時) (レス) id: 56b9cb16b3 (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - フユトさん» ありがとうございます！ これからも更新も含めて頑張らせていただきます！！ (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
藍沢鳴(プロフ) - さくさん» ありがとうございます！ そんな風に言ってもらえて嬉しいです。(^^) これからも頑張ります！(*`･ω･´*) (2015年5月8日 14時) (レス) id: 5e3089a4fd (このIDを非表示/違反報告)
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