※２０※ remember ページ25
Nside
一瞬
何が起きたか理解できなかった。
ゴールがスローモーションの様に倒れて来て、
ギュッと瞑った目を開けると、
何故か身体はゴールの横に突き飛ばされてて、
目の前には、ゴールの下敷きになってる翔ちゃん。
「うそだろっ、翔ちゃんっ！！！
しっかりしろ！！」
翔ちゃんはゴールに足を挟まれてて、
意識なんて朦朧としてるのに、
俺に手を伸ばして、
「だい…じょうぶ…だから…かず…」
「嘘っ、ごめんね、俺のせいでっ…
…っ…しょっちゃっ…ごめんっ…」
その後はよく覚えてない。
翔ちゃんの病室で、
ずっと泣いていた。
泣いたところで目の前に眠る翔ちゃんの怪我が治る訳ないのに。
翔ちゃんの怪我は、全治３ヶ月の大怪我。
病院の先生が言うには、
命に別状ないけど、もう、サッカーを続けるのは難しいって。
『俺、サッカー選手目指してんだ。』
いつかの翔ちゃんの言葉が頭に浮かんだ。
俺があの時、翔ちゃんのとこに行かなかったら…
俺が、翔ちゃんを呼び止めなきゃ…
「俺の…っ…せいだっ」
俺が…翔ちゃんの夢を奪ってしまったんだ…
なんで、俺のことなんか庇うんだよ。
俺が……俺が……
「か、ず…？」
俺の思考を遮ったのは、
他でもない翔ちゃんだった。
「…翔ちゃんっ。
ごめん、ごめんね。
俺のせいでっ…翔ちゃんが…っ」
「…和のせい…じゃ、ない…っ
和が…無事で良かった…」
自分を責める俺に、
翔ちゃんはずっと、和のせいじゃないって言ってくれた。
それが、俺のためについた優しい嘘でも、
その言葉に、少し救われた自分がいたんだ。
丁度この時、決めたんだ。
俺は、一生翔ちゃんを守るって。
今度は、俺が翔ちゃんを、守るんだって。
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作者名：aki | 作成日時：2015年3月25日 16時
