彼女の幸せ ページ33
_龍友side
萌は僕に本当のことをゆっくり話してくれた。
「私ね、入社当初アシスタントでファッション誌についてたの。
その時はまだまだ新人で、上司に怒られ、同期に見放されでずっと苦しくて...。
龍友知ってるでしょ?姉の話。
ちょうどその時、そのふたりが結婚したの」
萌にとっては、きっと酷く辛かったんだろうな。
僕にも辛い時期がもちろんあって、そのことを思い出すと、
同じように苦しかった。
「そんな時、特集を組むからって取材をしたのが、
sis"and"bro
そこに彼女がいた。」
「Aちゃん、?」
そ、と彼女は少し笑った。
「私と同じで入った当初でしかも年下。
なのに彼女は幸せそうだった。
上司にも褒められてニコニコしてて...
その時の私にはきっとそれが許せなかったんだと思う...」
僕は言葉が出なかった。
どう言ったら正解なんやと悩んだ。
でも彼女は続けた。
「結局それから会う事がなかったんだけど、
私が情報誌の担当になって、龍友の写真を撮った時隣にいたのが彼女だった。
すっごく頭にきて、龍友を使った...」
許せやん、もちろんそう思うことがあったけど
悲しみの代償が僕でつぐなえるなら、と感じた。
「そっか」
「ごめんね、龍友使って。龍友の幸せまで奪っちゃったね」
「いや...僕は萌を幸せにするって約束したから」
そう言うと照れたように俯いた。
そりゃ僕だって僕の幸せを追いかけたかったけど、
そんなことよりも大切な人を守りたいから。
「今、お姉さん達は...」
「子供3人もいるよ。名前きく?」
頷くとどこか遠くをみて言った。
「萌香、優希、凛叶だって。
憎いよね〜、わざわざ萌って付けなくてもね」
かなしそうに笑った。
どうゆうつもりで萌と付けたのか。
僕には分からんかったけど、
萌とお姉さんは仲良かったらしいから、
お姉さんはきっと萌みたいに育って欲しいと思っとるんやな。
「お姉さんなりの考えあるんやないか?」
「今更そんなの要らないのにね〜(笑)」
萌は確実に前より変わった。
前に進んでる。
「幸せ?」
「おかげさまで」
そう笑う彼女はどこか遠くに感じた。
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加恋(プロフ) - 大樹くん最高すぎて泣きそう (2021年1月1日 15時) (レス) id: 2e418c8a08 (このIDを非表示/違反報告)
Kas(プロフ) - ちーーさん» ありがとうございます!!これからもよろしくお願いします! (2019年1月19日 20時) (レス) id: 841873fbf3 (このIDを非表示/違反報告)
Kas(プロフ) - あきさん» ありがとうございます!! (2019年1月19日 20時) (レス) id: 841873fbf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちーー - 続きめちゃきになります!まってます! (2019年1月14日 0時) (レス) id: c05d53fa4c (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - つつ゛ききになります! (2019年1月13日 21時) (レス) id: 14702f8eae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼 空 | 作成日時:2018年12月6日 23時