特級術師、雷電先生【呪術廻戦】

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任務帰り、することがなくて車の窓からぼーっと外を歩く人を眺めていた。


本当になんとなく、人混みを見ていると、何故か気になった一人の人間。
近づくにつれてはっきり見えてきたその人は、黒髪で高身長の男。



ドキッとした。


最初に見つけた時から気づいていたのかもしれない。

烏の濡れ羽色のその髪は、間違いなく、あの時の彼のもので…
顔は見えなかったが、絶対そうだ、謎の確信がある。




はっと我に帰った頃には、車は随分と彼から離れてしまっていた。




しまったと思い、補助監督さんに急いで車を止めてもらうよう叫ぶ。

寝ようとしていた傑を起こしてしまったのがとても申し訳ない。
が、今は本当にそれどころじゃなくて、心の余裕がなかった。



車が路肩に止まるために、徐行になる。

ちょっとの時間も惜しくて、完全に止まる前にドアを開けて飛び出した。







まだ、まだ見失ってない。






人がたくさんいるが、それを押し退けて走る。






曲がって路地裏に入ってしまった彼を追いかけた。













興奮と走ったので息が上がったまま、彼に話しかけた。






『ハッ………ﾊｧｯ……ま、まって…


甚爾…！！』





「……なっ！？おま…」





10メートルほど前にいた彼が振り返る。

俺のことを覚えているか不安だったが、俺の顔を見た瞬間に驚いたと言うことはちゃんと覚えててくれたのだろうか。



そのままの勢いで彼に飛びついた。





『〜〜ｯｯｯ！！！甚爾！！とう、じ…！！』


「う”っ……おいガキ、嬉しいのはわかるがいきなり飛びついて……！！

なに泣いてんだよ、」




『甚爾ｯ………！やっと、あえた…から…！！』








昔はひたすら見上げるばかりだったせいか、少し小さくなったように見える彼の身体を思いっきり抱きしめた。





長かった……
やっと、やっと会えたんだ。




そう思った時にはもう涙が止まらなくて、まともに喋れないくらいに泣いた。

彼の肩に顔を押し付けて、名前を呼びながらひたすら泣く。







そんな俺が泣き止むまで、甚爾は黙って頭を撫でていてくれた。

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