6話 ページ7
.
そいつと共に天人を引き摺りながら屯所へ向かう。正直屯所は好んで行きたくはないが、まあ今回ばかりは多めに見てやろう。
『此処でちょっと待っててくれな』
気絶した天人を屯所の門の辺りに座らせると、
銀さんの方を一瞥し、そいつは門の中へと吸い込まれるように入っていった。
待つこと数分、聞き慣れた怠そうな声が聞こえてきた。
「何で非番の日に態々仕事しなきゃいけないんでィ。兄ちゃん」
『仕方ねーだろ絡まれたんだから』
あー、おたくら隣に並ぶとほんとに瓜二つだわ。目の色しか違わねーもんな。
「つーか旦那じゃねェですかィ」
「おー沖田くん。相変わらず幕府の犬は元気でやってんな」
「どうでもいい嫌味言いに来たなら帰って下せェ。面倒くせーんで」
『おい総悟、今回ばかりはこのおっさんに感謝しとけ。ここまでこいつら運んでくれたんだよ』
顎でクイッと指したのは先程の天人。ぐったりと壁に寄りかかっている様子に沖田くんが一瞬顔を顰めた。
「お前なあ、態々名乗ってやったのに今だおっさん呼びな時点で感謝する気ないだろ」
『えー。じゃあ銀時?』
「急に馴れ馴れしさ増したな」
『なら銀さん』
「ん、最初からそれでいーんだよ」
そいつの頭に手を乗せれば、少しだけ嬉しそうに目を細めた。なんとなくだが、定春と戯れる神楽の顔が思い浮ぶ。
沖田くんの兄貴って言う割には子供みてェだな。なんて、口に出したら文句を言われそうだが。
「…というか俺、お前の名前聞いてねーな」
『特に面白げがある訳じゃねえぞ?銀さんと違って』
「どさくさに紛れて人の名前をディスるなオイ」
『はは、すまんすまん』
何処に笑う要素があったのか、腹を抱えて無邪気に笑いだしたそいつ。こういう所か、沖田くんとの違いは。
『俺、沖田総也。
今後ともよろしくな銀さん』
「おぅ」
『後な、万事屋の話は総悟からも聞いた事あったから、今後もこいつと仲良くしてやってくれな』
沖田くんの肩に肘を乗せ、頬をつんつんしながら言ったそいつ。それに対し沖田くんは、仕返しとも言わんばかりに兄の頬を抓り始めた。
笑顔で行われていた無言の争い。
なんだこいつら…仲良いのか悪いのか分かりゃしねーな。
528人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光華(プロフ) - 6月23日の自分!! 更新、お願いします!!!! (2020年9月17日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
沙羅双樹(プロフ) - 更新してくれたら嬉しいです (2020年9月10日 17時) (レス) id: 9cc9adf25b (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年6月23日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
バナナミルク?(プロフ) - とても面白い内容ですね!続き待ってます! (2019年4月28日 19時) (レス) id: a5f1ddb0b6 (このIDを非表示/違反報告)
栄見(プロフ) - 愛音さん» ついでにコメントよろ!( `・ω・´)ノ ヨロシクー (2019年4月28日 16時) (レス) id: 69dd28c11f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:愛音 | 作成日時:2019年4月28日 12時