9話 ページ11
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最近の事について一通り雑談した後、総悟は後頭部に腕を組んでだらーっと畳に寝転がった。なんでも、この体制が結局一番楽だとの事。でもそれ後々体痛くならないか?兄ちゃん心配だぞ?なんて頭上から声をかければ「心配ねェぜ兄ちゃん。もう体が慣れてるんでィ」と返されたので要らぬ心配だったのかもしれない。
ふと、自室を見渡してみる。まだ何も無い部屋だが、だからこそ縁側からの陽の光が物に遮断される事無く真っ直ぐこちらに差し込んでくる。それを少し眩しく感じながら、そういやもう昼時だったか、と左腕の時計に目をやった。
『総悟、お前飯食ったか?』
「いや、今日は朝から兄ちゃんに仕事させられてたんでねィ。なんも食ってねェや」
『そりゃ悪かったな。ほら、今からなんか食いに行くぞ』
おーと小さく呟いた総悟を起き上がらせて、俺達は一緒に食堂に向かう事になった。真選組の食堂には何かと世話になっているし、気心の知れた隊士達と遭遇する事もあって中々悪くない。「どうせなら外に食いにいきゃいいのに」と言い出す総悟を上手いこと言いくるめて連れ出した。
食堂の扉を開けば、ふわりと香ってくる良い香り。そこは既に、何人もの隊士達で賑わっていた。俺と総悟は空いている席に一旦腰を下ろして、注文の紙を眺めた。
「注文何にしやすか」
『俺、唐揚げ定食』
「へーい」
食堂に設置されている椅子から立ち上がり、カウンターに向かった総悟。そんな後ろ姿を暫く眺めて違和感に気づく。
…何だこいつ、珍しく奢ってくれんのか?
今までそんな事1度もなかった。
いや、ミツバ姉といる時ならあったかもな…。
まーとにかく、こいつが人に何かを奢るなんてそれほど貴重って事だ。
「唐揚げ定食で良いんだろ」
『…おう』
トレーを持ってこちらに歩いてきた総悟が俺の目の前のテーブルに置いたのは、正真正銘唐揚げ定食。愛すべき弟を疑いたくはないが、こいつの場合は性格が性格なので、少しだけ警戒しながら唐揚げを口に運んだ。
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光華(プロフ) - 6月23日の自分!! 更新、お願いします!!!! (2020年9月17日 20時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
沙羅双樹(プロフ) - 更新してくれたら嬉しいです (2020年9月10日 17時) (レス) id: 9cc9adf25b (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 面白いです!更新頑張って下さい! (2020年6月23日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
バナナミルク?(プロフ) - とても面白い内容ですね!続き待ってます! (2019年4月28日 19時) (レス) id: a5f1ddb0b6 (このIDを非表示/違反報告)
栄見(プロフ) - 愛音さん» ついでにコメントよろ!( `・ω・´)ノ ヨロシクー (2019年4月28日 16時) (レス) id: 69dd28c11f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛音 | 作成日時:2019年4月28日 12時