甘々な避難場所。２【短編集】

優柔不断な僕は今日も遊獣浮男で。【青】 ページ4

____僕は、遊び人だ。



夜に適当な駅で 適当に可愛い子へ声をかけ、僕の自宅かホテルに連れ込む。


もちろん適当なバーへ行ってお酒も奢るし、愚痴だって聞いてあげる。


その対価が先述したそれってだけで。



僕みたいな可愛い男の子に詰め寄られれば みんな逃げられないでしょ？



｢ねぇねぇお姉さん、ちょっといい？｣



今日はなぜかその子に惹かれた。


いつもはギャルみたいな子に声をかけるのだが、今日の子はどちらかというと清楚系だ。


意外とこういう子のほうが そういうコトに興味あるって聞くし、ちょうどいいか。



｢なんですか？｣


明らかにお人好しそうな笑みを浮かべながらそう応える女の子。


この辺は繁華街だから初めて来た人が道を聞いたりすることも少なくないのだろう。



でもごめんね、僕はそんな人じゃないんだよ。



｢僕さぁ、一緒に飲んでた友達が帰っちゃって。よかったら一緒に飲んでくれない？君かわいいし｣



ちなみに一緒に飲んでた友達なんていない。


まぁこの場合は嘘も方便ってヤツだ。僕みたいなのと飲めるだけで幸せなんだから、そのくらいは見逃してもらわないとね。



｢私でよければいいですよ？あ、あと かわいいって気安く言っちゃダメです。そういうのは本当に好きな子に言わないと｣


にこっと口角を上げてそう言う彼女に、少しイラッとした。


なんでだよ、本当ならみんな顔を赤くして｢あなたもかっこいいですよ……？｣とか言ってくるのに。



｢そうだ、じゃあ名前教えて？｣


｢Aって言います。あなたは？｣


｢Aちゃん、かわいいね。僕、ころんって言うんだ。ころんくんって呼んでね｣



イライラを鎮めながらそっと手を握って、頬を緩めれば女の子……改めAちゃんは赤面する、


はずだった。



なんで思い通りにいかないんだよ。



僕が遊び目的だとわかっているのか、顔色ひとつ変えず僕の握手を受け入れている。


……さっきからイライラしてばっかり。



｢あ、そうそう、そこにいいバーあるから行こ｣



気を持ち直して 近くにあるバーを指さし、そのまま手を引いていく。


強引なの、女の子は嫌いじゃないでしょ。



Aちゃんはお人形のように引っ張られるがままで、もしかしたらこういうのも初めてなのかな なんて。



Aちゃん、ハジメテが僕なんかでごめんね。


ハジメテなら 優しくしてあげるから。

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