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____固唾を飲んで、応答を待つ。
「____もしもし」
『ん、もしもーし?』
3コール目に出てくれたのは、私の唯一の男友達だ。あえて名前は伏せておく。
電話越しに聞こえる声は少し眠たそうで。
「お昼寝してたの?かわいいね」
『朝早かったから。……なにか用?』
訝しげにそう聞いてくる彼。
アポなしだから仕方ないが、ここで「ころんくんを嫉妬させるためなの」なんて口走ってしまったら 作戦内容がころんくんにもバレてしまう。
声は聞こえるくらいの距離にいるため、いかに"それっぽく"聞かせるかが重要になってくるのだ。
「ちょっとだけ付き合ってよ。あのさ、前から思ってたけど かっこいいよね」
『んー、わかったよ。かっこいいって急にどうしたの?僕たちそういうのじゃないよね』
「そう?前からずーっと思ってたよ?」
ちなみに、再三申し上げておくが 電話相手の彼は男性だ。
声も言動も可愛らしいが、れっきとした男性である。
ここでチラッところんくんのほうを見てみると、なんだかソワソワしていた。
これはこちらを気にしている証拠だ。
ちょっと……いやかなり心苦しいが、仕方ない。
「なんて言うんだろう。大人の魅力?年齢は私の彼氏のほうが上だけど」
『ありがと。なんで僕には彼女ができないんだか』
「絶対できるって。私がフリーだったら付き合いたいくらい」
とまぁかなり思わせぶりな発言をしているが、事情はあとで説明することにしよう。
嘘ではないのだが。
「____ねぇ、誰と話してるの」
早速ころんくんが、吸い寄せられるようにこちらへ来た。
そんな彼を片手で軽くあしらいつつ、電話を続ける。
「私の彼氏の顔って可愛いからなぁ。かっこいい系も憧れるよね」
『へぇ、見飽きるみたいな?』
「……ねぇってば」
くだらない恋愛話で盛り上がっていると、捨てられた子犬のように ころんくんはさらに近付いてきた。
でも私は彼がさっきしてきたことを返しているだけだ。やられて嫌なことは人にしてはいけないと 幼少時に散々聞かされたが、今だけは許してほしい。
「そうだね、もともと私かっこいい顔が好みだし」
「……ぇ、初耳なんだけど」
『そういえば言ってたね』
彼氏であるころんくんが知らなくて、私の友達が知っているという事実と 私かっこいい顔が好きという事実 両方に絶望している彼。
とはいえ顔が好きで付き合ったわけではないんだし、彼にはそこまで落ち込まないでほしい所存だ。
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虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - 蝉-セミ-さん» 蝉さんありがとうございます!!私の書く💛さんの良さを分かっていただけて嬉しい限りです😭これからも喜んでいただけるよう更新頑張ります!笑 (2022年10月15日 12時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
蝉-セミ-(プロフ) - 久しぶりに占ツクにきたら短編集更新されてて嬉しかったです。やはりアイさんの書くちょっと大人っぽくて意地悪な💛くんが好きですw🤣 (2022年10月15日 1時) (レス) @page35 id: 19d8717651 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - わっふるのとっぴんぐさん» 返信遅くなり大変申し訳ありません!そう言っていただけて本当に嬉しいです、モチベーションになります…😭 ありがとうございます! (2022年10月12日 20時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根元付近に生息しているアイ(プロフ) - みぃなさん» 返信遅くなり大変申し訳ありません!私は後遺症もなく元気です☺️ ご心配ありがとうございます( ; ; ) (2022年10月12日 20時) (レス) id: 98cb88ece4 (このIDを非表示/違反報告)
わっふるのとっぴんぐ(プロフ) - コロナ大丈夫でしたか!?!?もうこの短編集最高すぎて…!!主さんのペースで更新がんばってください!(*´`) (2022年8月10日 17時) (レス) id: b8d201f8af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ x他1人 | 作成日時:2022年3月29日 22時