・49 ページ2
____大きいふかふかのベッド。
私の部屋にあるものとは格が違うな、と座った感触で思った。
「____じゃあ、いい?」
「____はい」
私が先に座っているベッドが、ぎしりと音を立てた。
彼もベッドに乗ったからだ。スプリングの効いたベッドが反発する感覚が伝わり、私の鼓動と同じように揺れている。
そして、彼は無言で私を押し倒した。
彼____ころん様は私の手首を強くつかみ、私の上に覆い被さる。
熱を帯びた彼の綺麗な瞳と私の目線が交差した。
「指輪、外すね」
「……はい」
近くのナイトテーブルに私の指輪を置き、ベッドのシーツと一緒にまた手首をつかまれる。
・
____遡ること、僅か数分前。
「A、ちょっと試したいことがあるんよね」
「なんですか?私でよければお手伝いいたしますが」
突然の申し出に、戸惑いながらも反応した。
試したいことなんて実験でもするのだろうか。
そんな私の疑問をよそに、彼は核心には触れずに話し始めた。
「これから僕が言うことには、絶対"はい"って答えて。でも、絶対にしないから」
「どういうことですか、理解しかねます」
なぜそんな主従関係のような……否、もとから私たちは主従関係なのだが。
なにか裏がありそうで怖い。そして『絶対にしない』とは。なにを"しない"んだ。
「んー、でももしAが抵抗したりしたらしちゃうかも。理解できないんならいいや、とりあえずベッドに座って?」
「どうして____」
「はい、でしょ?」
私の声を、疑問を、まとめてかき消すように圧を含んだ声でそう言われると 私も抵抗のしようがない。
____抵抗したらしちゃうかも、なんて なにをされるかは分からないが脅しではないか。
若干の恐怖に襲われながらベッドに座る。
____そして、冒頭に戻る というわけだ。
・
____さすがに理解してきた。
試したい、と言っていたが まさか本当に身体の相性を……?!
「____うわ、背徳感やば」
「____もういいですよね?恥ずかしいですし」
……一体私はなにをやらされているのだ。
もういいかげんいいだろう。
「えー、しょうがないな。続きはまた今度ね」
……私の意図が伝わったようで 彼は解放してくれた。
続きなんてしてやるもんか、と彼を一瞥するとにこっと可愛い笑みを向けられた。
よし、もうこれで自室に帰ろう。そう思い、指輪をはめたとき、
「いやなんで帰ろうとしてるの。一緒に寝るから」
136人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「すとぷり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» こちらのほうでもコメントありがとうございます(T T) 以前もらった泡糖さんのコメントが本当に嬉しく、今でも活力になっているので またコメントくださって嬉しいです💕 これからも更新頑張ります! (2022年3月4日 21時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡糖(プロフ) - 更新ありがとうございます!今回も読んでいて楽しかったです! (2022年3月4日 21時) (レス) id: eaad00c70c (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん 本当にいつもコメントありがとうございます✨ 大丈夫ですよ!笑 あれは完全にゴキブリを意識してます、気づいていただけて嬉しいです……笑 (2022年2月10日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - カサカサ…でゴキブリだと思ってしまった私は末期ですね(遠い目) (2022年2月10日 0時) (レス) @page25 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん いつもありがとうございます!! 切り方もお誉めもいただき光栄です……ありがとうございます(T T) 今後の展開に乞うご期待です!笑 (2022年1月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2022年1月13日 18時