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「わー、蜘蛛の巣張っちゃってますね……」
「僕西棟来るの一年ぶりくらいかも……」
物音ひとつしない 長い廊下を怯えながら歩いていく。
電球も切れかかっていて、まるで心霊スポットのようだ。
懐中電灯持ってくれば良かったな、と思ったが どうせ掃除するだけだ と自分に言い聞かせる。
「では、私はここから向こうの端までの窓を拭きます。ころん様はここから反対の端までお願いします」
「おっけー。……なんかさ、こう暗くてふたりきりだと興奮するよね」
私には理解できない感性でそう呟く彼。
遊びに来ているんじゃないんだ、こっちは。
「はいはい、その力は掃除に使ってください」
「なんかあしらわれてる?僕。適当じゃない?ねえ?」
ぎゃーぎゃー騒ぐ彼を無視し、窓を拭く。
外からは日中なので光が差し込んでくるが、いかんせん廊下も広いので暗い。
風の噂で聞いたのだが、このお城をつくった初代は日光をあまり好まなかったらしく、微妙に光が入りづらい窓になっているとかなっていないとか。
つくるならもっと光が入りやすい窓にしてください、初代さん。
顔も知らない『初代』を恨みながら窓を拭いていると、ふわっとアスターが香った。
振り向くと「あ、バレた?」とにやついてる彼。
「……真面目に窓拭いてください」
「もう終わったもん」
____異次元の速さで窓拭きを終わらせたらしい。
疑わしくなり彼側の窓を見てみると、意外にきちんと拭かれていた。
「綺麗でしょ?……ねぇねぇ、余った時間で遊ぼうよ」
「私がまだ終わっていないんです」
そう告げると、「はぁ?遅」と煽ってきたので心の中で殴っておいた。
「じゃあ僕が手伝ってあげる」
今度はゆっくり、真面目に窓を拭いていた。
「ありがとうございます」
しばらく無心で拭いていると、ふたりで拭いているからか あっという間に端まで到達した。
「ふぅ、……手伝っていただきありがとうございました」
「____じゃあ、お礼にちゅーして」
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時