いつまでも支えるから（inar）

俺だって ページ28

｢ふぇ、っひくっ、、やぁぁ｣




薄暗い部屋の中で、聞こえてくるのは悪夢によって無理矢理にでも思い出された過去に泣く大ちゃんの泣き声。

窓から差し込むのは月あかりだけで、まるで時が止まったかのような辺り一面静まった夜のことだった。







｢どうしたの、？｣









仕事の疲れと夜泣き続きで、うまく寝付くことの出来ない日々。
おかげで会社では頭が働かずに失敗ばかりして、昨日も大事な書類を出し忘れて契約が切られたり。山田にまで、｢先輩、集中してください。｣なんて言われる始末。









別に大ちゃんが悪いわけじゃない。分かってる、分かってるけど、無意識に募ってくる怒り。明日は特に大事な会議があるんだから休んだりすることは出来ないし、大ちゃんは光にでも頼んどけばいいけど俺はそうもいかない。







｢えっ、ふぇぇ、、けいちゃっ｣







毎日毎日繰り返されるこの動作。ゆっくり俺の上に乗っかってきて首元にぎゅーっと抱きつく。いつもなら俺も強く抱きしめ返して寝るまで優しく見守ることも出来たけど、








今日はなんだか眠気が強い上にイライラして、


｢大丈夫、大丈夫｣



目も開けずにただただ背中を叩く。
そうしとけば、安心すると思っていたから。
俺だって人間なんだし、一日くらい相手にしなくてもいいだろって。








ほら、おかげで泣き声もやんできたでしょ。







｢・・・っ｣

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