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序章 ページ2

花びらが落ちてきて、ふわっと数秒の間だけ私の目の前で舞った。



A「あ…。」



掴めそうな気がして思わず手を上げたが、その手は虚しく宙を掴むだけだ。



右手をゆっくりと開いてみる。



案の定、花びらはなく、右下の方に昨日ペンで書いた「始業式!」という汚い文字があるだけ。



掴めていないとわかっていても手のひらを確認してしまうのは昔からの癖だろうか。



私は溜息をついて、もう一度バッグを背負い直す。



時折、これと言う意味はないけれど少し顔を上げては、目の前の道路に視線を戻していた。



数分、人通りの少ない細い道(近道なのでよく通る)を歩き、大通りへ出た。



大通りを1分ほど歩けば、すぐに学校へ着く。



歩みを進めるたびに笑い声がより一層近くに聞こえる。



大通り、メインストリートの突き当たり。そこに私の学校は建っている。



校門の前は写真を撮る家族で一杯だ。



校門はいつもより美しく飾り付けられていて「祝・入学」と書かれたアーチがあった。



写真を撮り終わり、両親と共に不安げにアーチをくぐる生徒、それを温かく笑顔で迎え入れる先生達。



それにしてもよく笑えたものだ。昨年はあんなことがあったのに…。



生徒やその両親は知らないにしても、先生達はほとんどの人間が知っているだろう。



すると、不意にポンと肩に手を置かれた。



反射的に振り払い、後ろを見る。そこには幼馴染の原田涼真が立っていた。



涼真「よっす、A!」



涼真は軽く手を上げ、白い歯を見せて、ニカッと笑った。



振り払われたことを彼は気にしていないようだ。



A「お、涼真!おはよう!…お母さんは今日来る?」



涼真は首を左右にひねってキョロキョロと辺りを見渡していたが、「う〜ん」と唸った。



涼真「一応、来るって言ってたけどいない。Aの方は?」



A「うちは今日丁度、大阪の方に出張でいない。」



大阪かぁ…。と呟き、行ってみたいけど、遠いなと笑う。



涼真「ま、お互い大変やな。」



A「せやな。」



関西風のイントネーションで言って笑い合う。どれもいつも通りの会話だ。



涼真「…おばさんはもう…来ないよな。」



少し暗い声で言う涼真。



これはいつも通りではなかった。



A「知らない。」



私はそう吐き捨て、アーチをくぐった。

第一話【例のアレ】→←設定



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masa(プロフ) - 桜さん» 了解しました!切れ長の目という設定を完全に忘れてました、すみません!Σ( ̄□ ̄;) (2019年6月9日 23時) (レス) id: 3a5287be3e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - masaさん» ありがとうございます!すごくかっこいいです…っ!!あと少し目を細くしていただけますか?我儘ですみません! (2019年6月9日 19時) (レス) id: 98dc064b4f (このIDを非表示/違反報告)
masa(プロフ) - 教師のイメージ画像できました!https://uranai.nosv.org/u.php/novel/lovemahuma1/ (2019年6月9日 9時) (レス) id: cea8fefac7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - masaさん» 教師は少し大きめの白のワイシャツに緑のネクタイ、黒のズボンで、教祖様と夢主は葉山高校の夏服(設定の一番上に載ってます!)です( *´艸`) (2019年6月1日 0時) (レス) id: 2b0cb42b3d (このIDを非表示/違反報告)
masa(プロフ) - 質問なんですが、教師と教祖様の服装はどんな感じですか?(*´・ω・`)夢主の制服も指定があれば教えてください(* >ω<) (2019年5月31日 22時) (レス) id: 3a5287be3e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年5月26日 11時

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