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「なんっでっ…!」


涙が溢れて止まらなかった。


全部思い出した。


あの日、母の部屋で見つけたもの。


母に無視されても寝る前に必ず母の寝室に行っていた私の日課。


母は全部知っていて、それで、


倒れている母とざわつく屋敷の中。


何が何だか分からなくて、目が覚めたら名前しか分からなかった。


無視されたとしても、母が私をみていなかったとしても、


ずっと私は母が好きだった。


強くて、カッコよくて、ピアノが上手くて。


母みたいになりたかった。



「お母さん…逢いたいよ…」



涙が落ちた便箋は、菜の花の香りがした。

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作者名:紗玖 | 作成日時:2019年1月30日 22時

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