初依頼がこんな ページ36
『なんでこんなとこに...もうやだ帰る...』
弟「俺だって帰りたいよ!でも仕方ないじゃん依頼なんだから!」
ある夜、弟者さんと2人。
とあるホテル前(そーゆー系の...察して)の電柱の陰に隠れ、ホテルの入り口を見張っていた。
なぜこうなったのか...それは遡ること2時間前。
*
お「Aちゃん!」
リビングでゲームをしていた私は、おついちさんのハイトーンボイスによって意識を現実に引き戻された。
『はい?』
お「そろそろここにも慣れてきたでしょ?」
『え、あーまぁ、はい』
お「そ・こ・で!今日は弟者くんと一緒に依頼、行ってきてくれない?」
バチッとウィンクをかましながら依頼書らしき紙を掲げるおついちさん。
なんその顔...腹立つわぁ...。
『えー...』
お「えーじゃないよ!お互いの依頼手伝うって条件でしょーが」
『確かにそうでしたけど...とりあえずそれ見せてください』
お「どうぞ」
依頼書にざっと目を通す。
条件を出されてしまってはちょっと痛いが、正直内容による。迷子の猫探しとかなら喜んで引き受けるんだけど。
...いや、待てよ。
『...おついちさん、これ不倫調査じゃないですか』
お「そうなのよー。本当はあなたみたいな純粋な女の子に行かせるのも気が引けるんだけどね」
『じゃあ行かせないでくださいよ』
お「でもそれ僕と兄者で行く予定だったんだけどぉ...ほんっとーに申し訳ないことに急遽別の予定が入っちゃってね...俺らもう出なきゃなんないんだわ」
『いやいや待て待てちょっと待て』
しゅん...と申し訳なさそうな様子のおついちさん。それを見るとこっちも心がキュッてする。
いやだからといって不倫調査とは...日にち変えられたりしないのだろうか。
『何も今日じゃなくても...』
お「ターゲットは第2、第4日曜日に動くってとこまでは絞れたんだ。だから今日逃すとまた2週間空いちゃうの。俺らの仕事ってほら、分かるでしょ?口コミが命みたいなもんだから依頼主の意向に添えないと、さ」
『あー...』
確かに依頼主としては自分のパートナーが他の人とデキてるかもしれないってのは大分精神的にクるよな...そりゃ早期解決を望んでもおかしくない。
『...分かりました行けばいいんでしょ行けば』
お「さっすがAちゃん!ありがと大好き!あ、今弟者コンビニ行ってるから帰ってきたらその依頼書見せてね!じゃ、行ってきまーす」
颯爽と去るおついちさんは満面の笑みだった。
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作者名:Alice:A | 作成日時:2019年7月24日 0時