Amar *39 ページ40
約束の30分程前、冴のスマホには彼女からの連絡が入った。
駅に着いたはいいものの、どこに向かえばいいのか分からないらしい。
時間厳守にも程があると軽く呆れながらも、落ち合う場所の位置情報を送れば「グー○ル先生頑張れ！」と返信が来た。
電波が弱い駅構内じゃ、頼りの先生もポンコツになることを知らないんだろうか。
なんて軽くバカにしていたものの、15分後にはちゃんと到着連絡が入った。
ありがちな迷子展開は回避したらしい。よかった。
15時ジャストに到着した彼は、車の中から駅周辺の様子を見渡した。
(……あそこか)
道行く人の視線が集まる、その方向。
大体彼女はその視線の先にいる。
案の定、すぐに壁に寄りかかった彼女の姿を見つけた。
居場所が分かりやすいのは結構なことだが、余計な虫まで引っつけてくるのは勘弁してほしい。
軽く嘆息した彼は、サングラスをかけ車のドアを開けた。
片手で「着いた」とメッセージを打ち込めば、画面に目を落としていた彼女がぱっと顔を上げる。
キョロキョロと辺りを見渡した彼女が、軽く手をあげた冴に気づいて駆け寄ってこようとした瞬間、二人の男が彼女の進路を阻んだ。
「……うぜぇ」
迷惑そうに眉を顰めた彼女が何か言い返すと、男たちは何を思ったかスマホを取りだし、彼女の方へ向けた。
(……は？)
考えるより先に、足が動いた。
「──、
彼女が男の腕を振り払ったと同時に、後ろに回り込んだ彼は彼女を抱き寄せ男たちから引き剥がした。
「……
不機嫌を煮つめたような低い声が、男たちへと向けられた。
「
言葉の意味は分からずとも、身の危険は察せたんだろう。
さぁっと青ざめた男たちは、慌てたようにその場を後にした。
「……た、助かった…」
彼の腕の中で、心底安心したように息をついた彼女に、彼は呆れたような表情を浮かべた。
「スペイン語で撃退は十八番だったろうが」
「それがさ…。グー○ル翻訳出されたんだよね」
「……」
グー○ル先生、まさかの天敵でした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 962人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しょうこ - 初めは凛君推しだったんですけど、作者様のおかげで糸師兄弟（特に冴君）がだいすきになりました！(≧▽≦)更新すごく楽しみににしてます！💘 (1月2日 19時) (
レス) @page49 id: 30a41155d7 (このIDを非表示/違反報告)
etoile(プロフ) - LEさん» わ、ありがとうございます…！地道に書いていきますので、良かったらまた覗きに来てやってくださいませ( *´艸`) (5月25日 14時) (レス) @page46 id: d6edebd72c (このIDを非表示/違反報告)
LE(プロフ) - 一気読みしました！めっちゃ好きですー！更新楽しみにしてます✧ (5月24日 0時) (レス) id: 26edab818d (このIDを非表示/違反報告)
etoile(プロフ) - 志希さん» 嬉しすぎるメセありがとうございます…！展開遅めの亀さんですが、良かったら今後ともお付き合いくださいませ( *´艸`) (5月22日 11時) (レス) id: 09c9e92c1d (このIDを非表示/違反報告)
志希(プロフ) - もう大好きすぎて何回読み返したか分からないくらいの最高の作品をありがとうございます(⚲□⚲) (5月21日 21時) (レス) @page41 id: 42c973c817 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：etoile | 作成日時：2023年5月4日 23時
