新野先生の娘は元軍医さん!？【玖】 (ページ5)

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いたずら心④ ページ5

『明での最初の食事は、現地の家庭料理でしたが…不運なことに強烈でした…』

土井「強烈？」

『食事中は、お話することも憚られる内容…ですよ。』

土井「一体、どんな料理ですか…」

『まあ、簡単に言うと…ゲテモノ料理でしたね…全てがそうであるわけではないですが。』

彼女の行動力…努力…勇気…

いろんな意味で、苦労を乗り越えて生きてきた、

強い…カッコイイ女性…そう思った。

使命感を持って、軍医としてその使命を果たしているのだろう、そう思った。

自分には真似できそうもない努力を、

彼女はずっと葛藤を繰り返しながらも、決して諦めなかった。

『私ったらつい…明の話をし始めると、止まらなくなるみたいで…ごめんなさい！』

土井「そんな！むしろ楽しませてもらいましたよ！」

好きなものはトコトン突き詰め、深く知る。

あのときすでに…私はAに惚れていたのかもなぁ…

山田「清和源氏の流れを持つ将軍家足利氏一門にあたる
　武家。
　丹波一色義貫氏の娘、そして現丹波国守護大名の
　一色義直氏の妹君、『一色家未来の頭脳』という
　異名を持つ…」

彼女の出生を知ったときは、驚きのあまり唖然とした。

彼女のことを知っていくことで、
自分と重ねてしまうこともあった。
けれど同情心とかではない。
というよりも、互いを理解している…の方が近いかな。

土井「私は、明るくはありません。」

『？』

土井「あなたとお話をしていると、
　昔の自分を思い出します。」

『昔の、土井先生を？』

土井「昔の私は…」

『…』

土井「何も持っていなかった。」

似た境遇同士の同情心からくる感情ではなかった。

『な、なにも……でき、なかったっ』

土井「よく頑張ったね。どうしたらお父上の負担が減るか、
　明日みんなで一緒に考えよう。
　君は一人じゃない。だから安心して。」

『私…』

土井「ん？」

『子どもの顔を…見ると…たまに…怖くなる…』

土井「どうして？」

『純粋無垢な…子たちに…見透かされそう…』

先生として、いつもがんばり屋さんの君を、支えたい、
応援したい、

素敵な笑顔で…笑って欲しいと…願った。

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こうして思い返していくと…

土井「A…出会ってから、まだ半年の付き合いだけどさ…私はね、君のこと全部が大好きなんだ。そして君のことをもっと知りたい。」