新野先生の娘は元軍医さん!？【捌】 (ページ15)

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お裁縫① ページ15

(夢主side)

『ええっと…確かこの道に入って…』

山田家に向っている私。
おば様いらっしゃるかしら…

『あった…』

目印の石垣だ。

『ここを真っ直ぐ行って、山を登る…』

見えた!!山田家!!

『あれ?叔父上の気配も…生き物…？』

「ガラガラ」
「シャーッ!!」

『!?』

あれ…猫がいる。

奥方「まあ!!Aちゃんじゃない!!」
山田「A!?」
『こ…こんにちは…あの…この子は?』

奥方「我が家のかわいい猫ちゃんよ♪」
「ニャ～ン♡」

おば様には、かな～り懐いている様。

奥方「入って入って！！猫ちゃん?このコは怖くないよ〜?」
「ニャ?」
『お邪魔します…よろしくね猫ちゃん…』

そっと頭を撫でてみた…

山田「確かAは生き物が好きだったな。」
『はい。猫はあまり触ったことがないのですが…猫ちゃんのお名前は何というんですか?』

山田「猫。」
奥方「猫ちゃん。」

名は無いらしい。

『いつからここに…？』
山田「そういやぁ…いつだっけな。」
奥方「利吉が１３くらいの時だったかしらねぇ…」
『なるほど…』

茶色でフワフワの毛並み。

『叔父上、お帰りになっていたのですね。』
山田「ここのところ、アサギリの対処で休みがほぼ無かったからな…」
奥方「全く…あなたはちっともお帰りにならないんだから…」
山田「仕方ないだろう？忙しいんだから。」

奥方「そういえば、その大きな荷物は…？」
『実は…』

私が持ってきた物は、睡蓮花の柄があしらわれた、水色の反物である。

『小袖を縫いたいのですが…』
奥方「お裁縫、あまり得意ではなかったわねｗ」
『おば様…教えて頂けないでしょうか…』
奥方「いいわよ♪」
山田「ほう…いい色だな。」
奥方「似合うわよ絶対！」

世の中の女性は、裁縫できるのが当たり前。
女性物の着物は大抵、反物(布地)を買って自分の手で着物に仕立てるのが普通だ。
すでに着物に仕立て上げられた状態で売られているのは、男物。
これまでは、城の女中に頼んで仕立ててもらっていたが…
これからはそういうわけにはいかず…

奥方「睡蓮花の柄をこう合わせると…うまくいくわ。全体のバランスを見ましょうね。」
『はい…待ち針を刺します。』

奥方「仮縫いはできるのね。」
『そうですね…』

『イタッ！』

また指に針を刺してしまった。

奥方「慌てないで。ちゃんと縫えているわ。」
『はい。』
奥方「コツはね、こうして…ん？」
『すみません。左手がしびれて…』
奥方「後遺症ね。落ち着いて。」