抜天坊の破産の段�� ページ26
(No side)
ある日の放課後、乱太郎、きり丸、しんべヱは、外出届を提出し、出かけていた。
きり丸は、落ちているかもしれない小銭を探すことに夢中！
乱太「きり丸ー！そんなことしてたら日が暮れちゃうよー？」
きり「小銭がぁ〜落ちてなぁ〜い！小銭！小銭小銭！」
そのとき、後ろに誰かが歩いてきた。
しんべヱ「あっ！牡丹ちゃんと利梵(りぼん)くん！！」
乱太「えっ？」
牡丹「乱太郎さん！きり丸さん！しんべヱさん！ちょうどいいところでお会いしました！」
牡丹ちゃんと利梵くんは、超ドケチで評判の悪い、土倉の抜天坊の子ども。
土倉とは、室町時代に盛んであった、高利貸しの業者のこと。
高い利息を付けて金銭を貸す生業。また彼らは倉庫業も兼ねており、大きな倉庫を持っていたことに由来し、「土倉」と呼ばれる。
牡丹「父が破産しそうなのです！どうかお助けください！」
乱きりしん「「「ええっ！？」」」
きり「大金持ちのはずの土倉の抜天坊が、破産しそうってどういうことだよ？」
利梵「ある書類が見つからないと、父、抜天坊は訴訟に負けるのです。」
乱きりしん「「「え？」」」
乱太「なんで？」
利梵「詳しくお話しますと…」
乱きりしん「「「うん。」」」
牡丹「はじめ父は、ある金融業者から、資金として五百貫文を借りたのですが…」
利梵「その人が行方をくらましてしまって、」
牡丹「そこへ別の人が『私が新しい債権者となった』と言って、父の書いた借書を持って現れ…」
利梵「父は、四百貫文まで返済したのですが、残り百貫文がどうしても返せず、新たに百貫文の借書を作って、その人に渡したのです。そうしたら、また別の人がこの百貫文の借書を持っていると言って、催促してきたのです！」
乱太「なんか話がややこしくて…」
しん「全く分からない…」
きり「ちょっと待った！ってことは五百貫文の借書は、そのうちの四百貫文を返したにも関わらず、次から次へと人手に渡ったってこと？」
乱太「おお！さすが、きりちゃん！」
しん「銭の計算となると、さえまくってる！」
きり「借金を返した時の請取状はあるんだろ？」
牡丹「問題はそこなのです。借金返済を或る人にまかせていたのですが、その人から請取状が届いていないのです。」
利梵「今お金を返せと言われれば…」
牡丹「返したという証拠の請取状がないので…訴えられれば、父は裁判に負けます。つまり破産です！！」
乱太「借金を返すのを任せた人って、どういう人なの？」
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作者名：恋夏 | 作成日時：2022年9月20日 23時
