大川家の女【弐】 (ページ31)

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凄腕忍者の段③ ページ31

(夢主side)

ご近所さんが家に入って行ったところで、私はソイツから距離を取った。

凄腕「くそっ！！」

屋根の上で、お互いがにらみ合い状態になった。

彼は暗器である、袖箭(しゅうせん)を、そして私は戦輪を構える。

『おい、どういうつもりだ。』

凄腕「どういうつもり、とは？」

『一般の民草を巻き込むとは…どういう神経だ。』

凄腕「ふっｗ忍術学園の教師が、庶民を巻き込むとは到底思えないからなｗちょっとした威嚇さ。」

『下衆が。』

すると、ソイツが袖箭を放った。

『シュタッ！！』

宙に飛び上がり、袖箭を交わし、私は戦輪を投げた。

「シュタッ！！」

『何っ！？』

凄腕は私の戦輪を避け、苦無で攻撃してきた。

「ガキーンっ！！」

私も懐から苦無を取り出し、刃を交わす。

凄腕「ほう？なかなかの腕をしているな青年よ。」

『あんたも、良い腕をしているようだな。』

？？「Aっ！！」

『！！』

利吉さん！？

「シュンっ！！」

すると、地上から利吉さんが、凄腕に向けて手裏剣を投げ…

凄腕「くそっ！！邪魔が入ったか！！」

凄腕忍者は…姿をくらました。

利吉さんが、私の元へかけてきた

『まだ昼間ですし、人の目があります。深追いはできませんね。』

利吉「ああ。次の機会を狙おう。」

『はい。』

忍者の姿を、庶民に見られないようにしなくてはならない。

気を付けなければ。

利吉「文、送ってくれて助かった。福富屋に来たスッポンタケは始末したよ。」

『間に合って良かったです。』

利吉「ありがとう(^^)」

『え！？』

はあああっ！？急になんなの！？

『あ、当たり前のことをしただけです…』

利吉「いいや。よくあれだけ腕の達つ、情報屋を知っていたな。お前の力あっての結果だよ。」

『はあっ！？』

満面の笑みで話す利吉さんを見て、素っ頓狂な声を出してしまう。

利吉「怪我はないか？」

『な…ないです。』

利吉「そうか。」

『ええっと…こちらこそ…その…助太刀を…どうも…』

利吉「無事で良かった…」

『！？』

無事で良かった！？

『あ、当たり前です…こんなところで野垂れ死になんて私は御免ですからね。』

利吉「…」

『…』

利吉「あの夜は、私を牢屋から救い出してくれてありがとう。」

『！！』

利吉「あのとき、私は諦めかけていた。だけどこうして、お前が奇跡的に来てくれたから、私は今ここにいる。」

『…』