大川家の女【弐】 (ページ23)

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素直になれない① ページ23

(利吉side)

『お傷はもう大丈夫なんですか！？』

利吉「え…」

『あ…』

瞬時に理解した。

(『ある人物から、山田利吉を救出せよとの指令を受けた。』)

私の命を救ってくれたのはAだったんだ…

『(がつがつがつっ！！！)』

２人「「！？」」

すると今度は、残りの朝食を猛スピードで食べ始めるA…

『ごちそうさま。おばちゃん、とても美味しかったよ。ありがとう。』

おば「うふふっｗ」

そして…

「シュタタタタタタタッ！！！！」

猛スピードで食堂を飛び出して行った…

利吉「…」

尚正「A、「やらかしちゃった！！」って顔してたね。昔からAは、普段大人びていて、クールなポーカーフェイスなのにｗ」

尚正「あそこまでコロコロとAの表情を変えられるのは利吉ぐらいだよｗ」

利吉「…」

尚正「利吉？」

どうしよう…

利吉「私は…命の恩人に…しかも初恋の人になんてことを…」

尚正「あ、言っちゃうのねｗ」

利吉「お礼も言えないで…」

好きな人に、ボロボロになった自分を見られてしまうなんて…こんなんじゃ…

利吉「カッコわる…」

尚正「Aもそんな風に思ってはいないと思うけどなぁｗ」

利吉「ついイラっとして、言ってしまう…あんなこと思ってもないのに。」

尚正「利吉？Aは超鈍感ちゃんだから、きちんと気持ちをはっきり言わないと、伝わらないよ？」

利吉「気持ち？」

尚正「”好きな子いじめ”をしたところで、何も伝わらないよ？」

利吉「待て。”好きな子いじめ”って？」

尚正「だから！利吉が”ちび”だの”冷徹女”だの、からかってAにちょっかいを出すことだよ！それが好きな子いじめ！！」

利吉「な、なんで私？」

尚正「Aのこと、好きなんでしょ？」

利吉「はあああっ！？なんで私が！？」

尚正「いやいや…さっき自分で”初恋の人”って言ったじゃん…」

まさか無意識に口にして…？

利吉「うそ…///」

尚正「ふふふっｗｗちゃんと告白して捕まえておかないと取られるぞ～？Aは昔から美人だからｗ」

利吉「…」

尚正「まあ、『黙っていたら』美人だけどね？アハハッｗｗ」

利吉「お礼…言わないと…」

尚正「はいは～い！！いってらっしゃ～い！！」

ああ…終わった…

けれど、感謝してる気持ちは伝えないと…

利吉「おばちゃん…ご馳走様…」

食おば「ふふっｗお粗末様～」