大川家の女【弐】 (ページ16)

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朝日① ページ16

(利吉side)

今朝は、ふらつきも無いようで、日が出る前に目覚めることもできた。

利吉「もう大丈夫そうだな。」

身支度をして、食堂へ行こうかな。

利吉「伊作くんと留三郎くんを起こさないように…」

物音を立てずに着替え、井戸へ向かった。

バシャっと顔を洗うと、気持ちが良いもので…

利吉「今日は頑張るぞっ！」

目が覚めるし、元気も出る。

利吉「よし！空が明るんできたし、日の出でも見るとするか！」

気分がずっと落ち込んでいたけれど、優しい保健委員のみんなのおかげで、心も平常に戻った。

今日からまた、フリー忍者山田利吉として、堂々と在らなければっ！！

長屋の屋根に登り、日出を眺める。

利吉「美しいな…」

そのとき…わずかに人の気配を感じた。

利吉「誰か起きたのかな…」

「そろーり」と地面に降りて、ゆっくりと歩き、気配を探ってみる…

すると、塀の上に人が立っているのを見つけた。

その人はスラッとした体形で、

下ろされている髪は、腰辺りまである。

立花くんに負けず劣らずのサラサラストレートヘアだ…

太陽が昇り、朝日が降り注ぐ中、その人は真っ直ぐと立ち、朝日を見続ける。

え…？

後ろ姿だけしか見えないけど…

堂々たるその姿…

古事記に登場する、太陽神の天照大神を連想させる…

利吉「きれい…」

？？「ん…？」

思わず出してしまった、私の声が聞こえたのか、

その人は振り返り、私を見る。

顔は影になってて、よく見えないけど…本当にきれいな光景だなぁ…

？？「り…りきち…さん…？」

利吉「え…？」

なんで…私の名前を知っているんだ…？

？？「あ……」

利吉「その声…まさか…」

利吉「A…？」

『はい…』