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「ぼくは『生きるとは何か』その答えを作りに来た。それが出来るなら正直どこでもいい。」
Aは力強く云い放った。どこでもいい……と
しかし、その潔さに探偵社員達は驚きながらも好感を持った。
「答えを探すじゃなくて、作るかい？変なことを云う子だね。」
「頼めますか？」
太宰が少し呆れながらも微笑みながら云い、Aが云った時、携帯の着信音が喫茶店内に響いた。
「あ、ボクのです。」
爆弾魔役の青年＿＿谷崎が電話をとる。Aは忙しそうだと判断し、
「無理そうですね………」
と云って諦めかけたその時、
「国木田君！！彼女にも手伝いをしてもらえばいいんじゃないかい？」
と太宰が云った。
「えっと、調査の御依頼と伺っておりますが？一体どのようなご用件でしょうか＿＿」
Aは社員達に連れられ依頼に来たと云う女性の前に立っている。何故こうなった……という表情をAはしながらも女性を観察する。
太宰が
「美しい。睡蓮の花のごとき儚く、そして可憐なお嬢さんだ。どうか私と、心中していただけ＿＿＿」
と云いながら女性口説き始め、眼鏡の男＿＿国木田に蹴り飛ばされる。
しかし、女性はそのまま話を続ける。
「それで、依頼のお話なのですが。」
「あ………はい…………」
「実は我が社のビルヂングの裏手に最近善からぬ輩が屯している様なのです。」
依頼の詳しい内容になったとたん谷崎は姿勢を正す。
「善からぬ輩とは？」
「襤褸を纏った連中のようです。中には聞き慣れない、異国の言葉を話す者もいるとか………」
「そいつは、密輸業者の類だろう。軍警がいくら取り締まってもフナムシのように湧いてくる。港湾都市の宿業だな。」
太宰をしばき終えた国木田が出てきて推測をする。
しかし、Aはそうは思わなかった。この女性は嘘をついている。Aはそう睨むが口には出さない。
「ええ、無法の輩という証拠さえあれば、軍警に掛け合えます。ですから＿＿」
「現場を張って証拠を掴め、か…………小僧。」
「え？」
国木田の判断の下、敦と谷崎。そして谷崎の妹のナオミが行くことになる。
そのまま国木田はAの方を向き、
「それから小娘。」
「？ぼくですか？」
「探偵社に入りたいならこの仕事を成功させろ。」
そう云った。
Aはこの仕事は面倒ごとになるなと思いながら答える。
「了解しました。」
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作者名：玉兎 | 作成日時：2019年7月28日 10時
