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ポートマフィアのビルの屋上。三人の人影がヨコハマの街を見下ろしている。
「やっぱりビルの屋上はいいね、コウ、フク。」
黒髪の少女が伸びをしながら他の二人に問いかける。
「そうだな。風が気持ちいいし!」
黒いフードを被った人物__コウが答える。風に当たるのが好きなのか着ている上着をひろげ風を受ける。
「ん。」
白いフードを被った人物__フクも短く答える。しかし少し寒いのか長い
黒髪の少女は心底楽しそうに微笑み、じっくりと街を観察する。
彼女の目には眼下の街と記憶の中にある街と二つの街が写っている。
彼女の脳裏には幼い頃少しの間共にいた少年の顔が浮かんでいる。
「A様?」
「?」
暫くの間無言だった為か二人が心配そうに少女__Aを見つめる。
と、唐突に
「コウ、フク。ぼくは探偵社に向かうよ。」
Aは云った。
二人は少し驚いたが、三人にとって当たり前の事だったのか、少し呆れたような表情を浮かべた。
しかしそれは一瞬の事で
「仰せのままに。A様。」
と、Aの前に膝付き応える。Aにとってその状況はいつもの事のようで彼女は目をつぶり思案する。
『人とは何か
大切とは何か
愛とは何か
生きるとは何か』
これは彼女に与えられた試練なのだろう。
このセカイで生きるということ。
Aは不敵な笑みを浮かべる。
__必ず見つける………いや、作ってみせる。
彼女はそう考える。
「A様?」
「だ、大丈夫?」
急に笑い出したAを二人は心配するが、Aは何でもないと答えビルを降りようと行ってしまう。
コウとフクはどうしたのだろうと疑問を抱えながら彼女の後に付き従った_____
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作者名:玉兎 | 作成日時:2019年7月28日 10時