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Aは暫し森の目を見つめ
「………質問ですが、もし断ったら?」
と静かに問う。
森は不敵な笑みを携え答える。
「愚問だねぇ。君なら判るだろう?」
その一言にAは眼光を鋭くする。恐らく森の云っている意味が通じたのだろう。
「首領!Aは………!」
芥川がAを庇おうとするが、Aに手をそっと繋がれた。
「芥川さん。ぼくは大丈夫。」
芥川を安心させる為か微笑んだ後森へと向き直る。
「それで、どうだい?」
森が先を急かす。
「協力体制………というのは?」
Aにとってポートマフィアに入るのに抵抗はないのだ。しかし、Aは入るわけにはいかない。
「ほう。ならば君はポートマフィアにどのような利益を与えてくれるのだい?」
「ぼくが入ると仲間が怒るかも知れないのでね。ぼくは仲間の為でしか動くつもりはないですよ。」
そう、Aの仲間にはポートマフィアで過ごすことが出来ない人がいるのだ。
「君には仲間がいるのかい?それは探偵社員ではなく?」
仲間の為にしか動かないと云うAに森は少々驚く。しかし、Aの存在を無視は出来ない。
「ええ、別の仲間です。マフィアには向かないというか嫌悪してる子なので怒るかと。」
周りからすればそれだけの事だ。しかし、森はAの気持ちがどんなに云っても変わらないことを悟った。
故に妥協すべきだと判断し、
「では、協力体制ならば君は何をしてくれるのだい?」
と、問う。
Aは少し考える素振りを見せながら初めから考えていたものを提案した。
「そうですね。まず、ポートマフィアへの敵対行動をしません。それに、情報を集めることが多いですから、ポートマフィアに敵対しようとしている非合法組織の情報の引き渡しをするというのは?」
森にとってその提案は充分な利益があった。ただ、Aの戦力を測れないのに森は少々勿体無いと感じた。
「成る程ね。しかし、それではこちらも敵対しないとしようか。後は……武器の入手等を私に云ってくれたら用意しよう。」
そう、安く渡す代わりに相手がどんなに武器を使うかで戦力を測ろうと思ったのだ。
すると、
「ほう、ではぼくの手が空いていれば組織の壊滅の手伝いぐらいならしてもいいですよ?」
Aは森のしたいことを把握し付け足した。
森は降参だと云うように片手を上げ、
「ではそういう事でよろしくね。」
と云った。
__切り札を切らずにすんで良かった……
Aはそう思った。
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作者名:玉兎 | 作成日時:2019年7月28日 10時