素直なあの子 ページ35
＿草間side＿
｢リチャ〜！リチャリチャ！｣
草間｢んー？なしたん、そんな急いで｣
｢なぁ、ここのお店めっちゃ良くない？！｣
スマホを片手に、目を輝かせて走ってきたA。
画面に写るのは、趣深くていい感じな和食屋さん。
草間｢おー、ええやん。よぉ見つけたな｣
｢えへへ、頑張った！
なぁ、いつ空いとる？一緒に行こう！！｣
はてなマークはついているものの、
これはほぼ強制みたいなもんや。
まあAがこうやって誘ってくれんのは嬉しいから断らんけど。
福本｢えー、なんでリチャくんなん。俺と行こーやー｣
末澤｢俺！！俺と行くでA！！奢るし！！｣
大抵こういった会話が聞かれると、
このふたりが食い付いてくる。
(末澤に至っては奢りで釣る始末)
んで、結局みんなで行く…なんてパターンがいつもだけど、何だか今日は違うようで。
｢んー。やだ！｣
福本,末澤｢｢え"｣｣
正門｢お？｣
この展開は初めてやぞ…。
福本｢な、なんで？｣
末澤｢俺と一緒はやだ？｣
何だかんだでいつも優しいAからの拒否に
分かりやすく狼狽えるふたり。
｢うん、やだ！｣
そんなふたりにAは笑顔で容赦なくトドメを刺した。
…これが悪気ないからタチ悪いんよなぁ…。
なんて思いながら咽び泣くふたりを横目に、
スマホで予定をチェックしていると、
｢リチャとふたりでデートしたいんやもん｣
草間｢………ん？｣
福本｢リチャと………ふたりで…｣
末澤｢デート………｣
佐野｢…あ、死んだ｣
小島｢死んだな｣
正門｢ハハッ！Aはほんま容赦ないよなぁ｣
あ、空いてる日あった？
なんてケロリとした表情で腕に絡みついてくるA。
草間｢来週の月曜なら空いてるで｣
｢ほんま！私も空いてる！！｣
やったー！と騒ぎながらぴょんぴょんと飛び跳ねていると、…あ、転んだ。
草間｢なにやってん…。そんな飛んだら危ないやろ｣
うずくまる彼女に手を差し伸べ、体を起こしてやる。
｢ふふっ！だって、すっっごく楽しみなんやもん！
早く来週にならんかなぁ〜！！｣
手を握りながら満面の笑みでそう答えた。
草間｢…まだ火曜やで｣
なんてシレッと何ともない振りしてるけど、
…まぁ、ずっきゅんと胸に来るんは当たり前やろ。
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作者名：透夏 | 作成日時：2020年5月21日 16時
