火薬系カップル【忍たま乱太郎】

。 ページ29

あれから私たちは、茶屋を出て忍術学園へ戻った。

A「文次郎、元気にやってるかなぁ…」

仙蔵「どうだろうな。」



〜その頃茶屋では〜

西の空は既に橙色に染まり、どこからともなく烏の声が聞こえてくる。茶屋も閉店の時間となり、店の者たちは、せっせと終業のための片付けをしていた。もちろん、文次郎もそのうちの一人。

皆が忙しなく手を動かす中、一人、立ち止まる者がいた。



店員「ねぇ、文子さん、先程の男の子たちとは、その、ねぇ？……どうなの？」

まだ年若い女の店員は、文次郎の前で立ち止まり、頬を微かに上気させながら聞いた。
『お付き合いているの？』
一応言葉を濁しているものの、彼女が聞きたいことは手に取るように分かる。

文次郎「いえ、そういう訳ではなくて…」

店員「本当に？」

文次郎「え、ええ。」

念を押すように女が聞くので、文次郎は少々戸惑いながらも答えた。

すると、女はにっこりと笑う。

店員「それなら、」

女は1度そこで言葉を断ち切った。何を言われるのか検討もつかない文次郎は、ただただ次の言葉を待つしかない。






店員「……私にあの男の子、紹介してくれないかしら。」

小さな声で、女はそう呟いた。頬を赤らめ、目をキラキラと輝かせている。

文次郎「え？」

店員「だから、あの男の子を紹介して欲しいのよ。ほら、髪が長い、色白の。」

髪が長くて、色白。それはきっと、仙蔵のことだ。

文次郎「あ、え、いえ、まぁ。」

店員「本当に？嬉しいわ。是非お願い！ねぇみんな、文子さん、あの男の子たちを紹介してくれるって！！」

文次郎の理解が遅れ、曖昧な言葉を並べていると、どうやら都合よく解釈されたらしく、勝手に話を進められてしまった。


A子「文子さん本当？それなら私もお願いしたいわ！ほらあの、優しそうな。」

文次郎(伊作か。いやあいつは割と優しくない……！そして不運だ！ものすごく。)

B美「それなら私はあの子がいいわぁ。綺麗な顔で、文子さんへの対応も紳士的で、素敵だったわ……」

文次郎(Aのことか…？紳士的も何もそもそもあいつは女だし、Aと仙蔵は付き合ってるし。)


それからこの会話は、仕事を終えて店を出るまで、続いた。




〜数日後・忍術学園〜

文次郎「……」

A「なんでそんな見てくんのさ変態。」

仙蔵「文次郎老けたか？」

伊作「医学的な観点から言って気持ち悪い。」


文次郎(なんでこいつらが人気なんだ……？)

顔だけは良い3人でした。

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