【銀魂】花時の青い夢【合同企画】 (ページ42)

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「いや～……結構やったね～……」

「結構どころじゃねェよ……」

太陽は既に沈みきる直前だったがその光は異様に眩しく、薄暗い空をオレンジ色が所々侵蝕して、グラデーションを描いていた。

「ん」

ベンチでぐったりしていると、高杉君が私の頬に飲み物を押し付けて、隣に座った。

「おぉ、ありがと……」

受け取るや否や、キャップを即座に開けてスポーツドリンクを口に含んだ。喉がカラカラだったので、ひんやりとして甘いそれは余計に美味しく感じた。

「生き返る……」

「馬鹿、俺の飲む分無くなるだろうが。寄こせ」

高杉君はそう言って私からペットボトルを奪い、そのままごくごくと飲み干してしまった。

「あー……間接キス……」

「金なかったから一本しか買えなかった。キス如きでごちゃごちゃ言うなや」

「いやキスではないけどね。ま、いっか」

「……あのさ、高杉君。ちょっと話聞いてもらえたりする？」

「あァ」

彼は間を置く事無く返事をした。もしかして、私が話すそれを待っていたのかと少し思ったけど、いや、流石にそれは気のせいか。

「……今年の高総体さ、ソフト部ベスト8だったんだよね。…………十年ぶりの」

「去年の先輩までずっとベスト4入ってたのに、私達の、私の代でそれが途切れちゃった」

「先輩達が守ってきたもの、守れなかった」

罪を告白している様で、胸が突き刺された気分になった。目頭が徐々に熱くなる。

「……最後の回、守り抜けば勝ったのに。ほんと最後の最後、ラスト一球投げきれば終わりだったのに。……気がついたら投げたのが、ホームラン打たれてたよ」

声が震える、涙がぼろぼろと落ち始める。
悔しかった、悔しかった。やり切ったから後悔は無いと言って、泣いてばかりの後輩達に笑顔で後を託した。だけど、そんなの大嘘で。本当は後悔しまくり、未練タラタラだ。

「あの時、違うの投げてたらとか、もっと速く投げれたら、もっと才能があったら、……男子みたいだったら、とか。今でも、考えちゃうんだよね」

「たった一回、私が打たれたから負けた。あの時負けた理由は、それ。それしか、なかった」

「だから、私……私っ……」

この後がどうしても言葉に出せなかった。もう思考回路はごちゃごちゃで、何が言いたいのかもあやふやで、それでも悲しくて悲しくて、涙が止まらなかった。