【銀魂】花時の青い夢【合同企画】 (ページ14)

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高杉晋助【ハル】ページ14

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高杉晋助という男は、銀魂高校一の不良である。
冷血硬派・極悪非道など、マイナスのイメージである彼は、母親が格闘家で父親はヤのつく職業。宇宙人に攫われて人体改造手術を受け、彼の左目には宇宙生命力が封じ込められており、その左目を見たものは死んでしまうらしい。

そんなくだらない噂に嘘か真か謀っている彼らを、Aだけは馬鹿げた話だと、心の中で嘲笑っていた。彼女は彼の両親についてはよく知らないが、あの左目は生来のものだということを知っている。

彼女と高杉は同じ中学校出身だ。しかしそのことは誰にも知られておらず、彼女や彼と同じ中学の生徒がこの銀魂高校にはいないというのが第一の理由であった。

彼女は自身でも痛感しているほど、少女漫画で描かれる教室の背景にいそうなくらい存在感の霞んだモブである。
そんな彼女が態々「彼と同じ中学だったんだ」と言ったところで、「お前が高杉と関わっていたわけがない」と思われては、せめてもの社交辞令として、高杉の外側という外側を遠目から見ていた感想を聞くのだろう。

ましてや彼女と高杉が中学生の時に付き合っていたと言ったら、一体何人が信じるのか。

もちろん嘘ではない。が、彼女自身、夢か現か未だに分からなくなってしまうほど。ヒエラルキーの頂点に立つような男が、アンダークラスの自分の隣を歩いていたことに、彼女は驚嘆の色を心から隠せないのである。

しかも高杉から彼女に告白したのだ。
寒い冬のある日、鼻先と頬を赤くして、白く染まる吐息と共に「好きだ」と。中学の時から近寄りがたいオーラを放つ高杉から向けられた好意が、彼女にはくすぐったくて、どこか心地良かった。

そして彼女には一つの疑問が浮かぶ。彼はどのように人に愛を伝えるのか。しかし彼女が高杉の求愛行動を見る前に、彼らには「自然消滅」と言う名の別れが訪れたのである。

いつ別れたのかは分からないが、別れている。
あやふやで、不確かで、でもそれが揺るぎない事実。

今更になって、彼女は自身の胸に悲愴の感情を探そうとするも、「席を移動しろー」という目の前の教卓から発せられた担任の先生の声により、現在席替えの真っ最中だったことを思い出した。

彼女の手の中には13番と書かれた紙。これは縁起が悪そうだと肩を落としかけたが、黒板に13番は窓側から二列目の一番後ろの席と書かれているではないか。彼女が鼻歌交じりに自分の机を持ち上げながら移動すると、前の席は仲の良い友人だった。

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