【銀魂】花時の青い夢【合同企画】 (ページ1)

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坂田銀時【月ヶ瀬ましろ】ページ1

ほんの少し前まで、アイツの1番は俺だった。

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「で、最近どうなんだよ」

学校帰り、この喫茶店に寄り道するのも日課になりつつあった。
いつもと同じように、いちごミルクを啜る俺の目の前に座る女＿＿Aは「そうだなぁ…」と小さく笑う。

ほんの少し前まで、Aの1番は俺だった。
高校に入学して1年目に知り合った彼女と俺は初めての席替えで隣になって以来、一緒に下校したり、休日は2人で何処かへ出掛けたり、順調に距離を縮めていった。

「銀ちゃんと一緒に居ると楽しいなぁ」

なんて、嬉しそうに笑うAが俺は居心地が良くて仕方が無かった。
初めは偶然からだったかも知れないが、次第に俺は意図的にAの隣にいるようになった。

けれど、そんな俺達の関係はあっさりと崩れ去ったのだ。

「なに、もしかして進展ねェの？」
「うん…日曜日に一緒に水族館に行ったんだけど……あんまり、楽しそうじゃなかった」
「………ふぅん」

落ち込む様子のAに何と声を掛ければ良いのか、そんなの皆目検討も付かない。
「じゃあ、いっそ俺にしとけば？」なんて口が裂けても言えやしない。

ほんの3週間前の話だ。
いつもなら断ったりはしないAが俺からの映画の誘いを断ったのだ。

別に、それ自体はさして気にしてはいなかった。
他に先約があるなら、まぁ、仕方ない。
そう思っていた。

「んじゃあ、またな」
「ばいばい」

「A…？」
「あ、……銀、ちゃん…」

たまたま、Aの家の前を通りかかった俺が目撃したのはAと、2年になって転校してきた男の姿だった。
いかにもデート帰りに家まで送って貰ったらしい姿に愕然とする。

いつの間にか、俺の居場所はその男に奪われていたのだ。

「なァ…お前ってさ、彼奴が好きなの？」
「………うん、好き」
「…そっか、応援してやるよ」

俺とAはあくまで友達だった。
ただ、俺が勝手にAは俺を好きなんじゃないか、と傲慢な勘違いをしていて、そして俺もまたAが好きだったのだと気付いただけで。

転校してきた彼をたまたま学校案内係に任命されて好きになってしまったAが悪い訳では無いのだ。

誰も悪くない、ただタイミングだけが悪かった。
一緒に下校することも、毎週のように出掛けていたことも、その一件以来ぱたりと無くなってしまっただけのこと。