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押し付けるようにされて黙って受け取る。
歩いて行く神威の背中を見ながら、もらった種を制服のポケットへと納めたのだった。
彼の背中を追いかけて「何か飲み物買わない？」と近くにある小さなワゴンを指差す。いいよと言った神威に何が飲みたいか尋ねるけれど、神威が買いに行くと言った。
「いいよ、私行くからここにいて！」
「……なら、コーラ」
「わかった」
何人か並ぶワゴンの列に並ぶ。
スマホで彼氏を喜ばせる100の方法を検索したり、デートなのに無表情である理由を調べたりしては自分の番が来るまで待っていた。100の方法と言っても素直に「好き」と言ったり、甘えてみたりなんてあるあるなことが多すぎて逆に私には無理かなって。
「うーん、嫌われてる…ような気はしないんだけどなぁ」とボヤいていると、となりに彼がやってきた。不意にやってきた彼を見上げると、神威はすっごい怖い顔をしていた。思わずたじろいでしまう。
何だか人一人殺すような瞳にゾッとする。
「か、神威…？」と神威の制服を掴むと、ハッとしたように「俺、やっぱりカルピスがいい」と言った。
「カルピス好きなの？」
「うん」
「何だか意外」
私を見ていた青い瞳はいつのまにか私じゃ無くどこかへと向いていた。どこを見ているのか変わらない彼から顔を正面に戻し、唇を固く結ぶ。
ワゴンで買ったカルピスとメロンソーダを互いに飲みながら、花道を通る。さっきからずっと互いに無言なのは私が会話を持ちかけないからだ。
神威のことがほんとにわからなくなってきた。ずっと不機嫌そうにしているし、さっきだって怖い顔していて怖かった。こんなに好きなのに、神威は私のことを想っていないのだろうかと思うと泣きたくなって仕方がないのだ。
「どうしたの？」
途中立ち止まった私に眉を寄せ、少し先を歩いていた神威は近くまで寄ってきた。「A？」と私の顔を覗き込む彼に「……帰る」と言った。
「は？」
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作者名：瑠璃鶲 x他5人 | 作成日時：2018年4月2日 9時
