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ここから何駅か先の方にある場所でいつか神威と行ってみたいと思っていた場所だ。電車に彼と乗って空いていた椅子に座る。だけど、少ししておばあさんが乗ってきたため席を譲って、扉の近くに移動して立った。
開け閉めが多いそこにいると、たくさんの人たちが利用する駅で神威が「こっち」と私の腕を引っ張った。守るように引き寄せてくれた彼にキュンと胸が鳴る。神威を見上げるがやっぱり彼は無表情でつまらなそうだった。
「(何か会話…)」
無言が続くのが嫌で、何か会話をもちかけようとするけれど何も思いつかない。どうせなら神威のことをもっと知りたいけれど、無表情の彼に聞くのはなんだか気が引けて。
私とのデート楽しくないのかなって涙が出そうになってしまう。唇を噛んで我慢。
「次は○○○駅、○○○駅」
到着のアナウンスが流れ、その駅で降りる。
すぐに手を繋いできた神威に不安要素は少し削がれる。もっと指を絡める恋人繋ぎなんて繋ぎ方をしてみたいけれど、それはまだ私たちには早いのかもしれない。
スマホを出してネモフィラの花畑までのルートを確認しながら歩き出す。何人かの歩行者の後を追うように向かって。どんどん青が見えてくる。ついた時には一面が青いネモフィラの海のようだった。
「見てみて！綺麗だね神威！」
「うん」
彼の手に指を絡めるように繋ぎかえる。
「…！」と驚いている神威を引っ張るように歩いて、ネモフィラの花畑まで行く。彼は何も言わずに私の行くがままについてきた。
そこではネモフィラの花の種を配っている人がいて、写真を撮りながら歩いているとそれをもらうことができた。「俺のあげる」と横から差し出された種の入った小さな袋を見、神威を振り向く。
「庭に埋めなよ」
「神威はいらないの？」
「うん」
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作者名：瑠璃鶲 x他5人 | 作成日時：2018年4月2日 9時
