あの音を掴んで。【ヘタリア】

37曲目。 ページ46

A視点



















加「今日はもう」

マシューの言葉に同意して、縦に首を振った。











アルは…アルフレッドは扉の前で立ち尽くしていた。

自分達の突き放すようなアーサーの言葉にショックを受けたのだろう。













『アル、今日は…』




米「嫌だ、嫌なんだぞ！だって、俺はマシューと約束したんだ。


“俺たちがアーサーを取り戻す”んだって。






俺は…アーサーが“部活に戻る”って言うまで帰らない」









『そんなこと言ったって…！』

そんなこと言ったって、その後の言葉が続かなかった。




アーサーを取り戻したい、その思いは同じだったから…。












『私だって、私だって！帰りたくないよ、ここで終わりたくない。

やっと入賞が見えてきたのに…やっと、求めてきた“創音サウンド”が掴めそうなのに。

私だって嫌だよ…』







言いながら涙が出てくる。

“中途半端”


私が一番嫌いな言葉だ。

このままコンテストに挑んだらきっと、認められない結果が、中途半端な結果が出てくる。




そんなの嫌だった。



















加「アーサーさん。Aさんとアルフレッドの思いを聞いてどう思いましたか？

聞こえていたのでしょう？」






英「…もう少し考えたい」


扉越しに聞こえる声はやはり、弱々しいものだった。

















米「分かってると思うけど、明日はリハーサルだ。君がたくさん努力してきたのを俺は知ってる」



加「その努力を発揮する場所ですよ」









『じゃあ、また明日…。8時に学校集合だよ』















英「…」





扉の奥に居るアーサーからの返事はなく、私たちは家から去った。

辺りは暗く、今日は私の家に2人が泊まることになった。





私は兄から譲り受けた家に一人暮らしをしている。



















明日はリハーサル。




“コンテスト”という名の運命の日は近づきつつある。

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