―116 いえない ページ16
クロームと黒曜で合流した後ヘルシーランドへ移って、実践式の稽古をつけていたAだったが
その時間は長くは続かなかった。
「A、携帯鳴ってる」
「おい!てめー電源くらい切っとけっての!」
「城島うるさい。ごめんねクローム、しばらくこいつの相手してて」
「なんらと!?やっぱ1回ズッタズタに…「犬、やめときな」〜〜〜〜っなんれ柿ピーまであいつの味方するんら!!」
熱くなりかけた城島を鎮火してくれる柿本には助かる
そもそもクロームとふたりで稽古するつもりだったのに、傍を離れたくなくて着いてきたのはそっちだろう、と喉まででかかったが
せっかく関係も良好そうだ。今自分が何か言ってもとばっちりはすべてクロームに行くだろうとAはぐっとこらえて携帯に手を伸ばした。
画面に写った発信源を見て思わず眉間をもむ
「はい《トガセぇぇぇぇえ!!》…声のボリューム考えてくれない?」
キーンとあまりの音量に耳鳴りがする
携帯越しにクロームたちへも聞こえているほどだ。
突然の了平からの連絡だったがAは事情が予測できていた。
かそれでも耐えがたかったらしい、額に青筋を立てている
クロームや柿本も驚いたらしいので手で合図をして3人から距離をとると了平はトーンダウンしてボソボソと喋り始めた。
《京子と連絡が取れんのだ。今日は一日家にいると言ったのにロードワークから帰ると鍵が開いたまま…沢田にも聞こうと思ったがこちらも連絡がつかない
お前なにか知らないか》
本気で心配している
最後の言葉には“知っているなら言え”という強い脅迫も含まれているように感じる
当たり前か、笹川はそういうやつで。笹川京子はあいつの大事な妹だ。
「…知らないな、そもそも私はお前の妹の連絡先さえ知らない」
《そうか…もし誘拐などでもしたら、俺はどうしたらいい
京子や沢田になにかあったら》
「もし仮にそうだったとして、お前ひとりにできることは限られてる
私も探すから、そう気負うな
それに、たぶん沢田と一緒にいるよ。あいつがいるなら心配することもないでしょう」
《あぁ…そうだな!あいつは強い男だ!
ありがとうなトガセ》
プツッと、切れた通話に言いたい放題言って切りやがったなとAはしかめっ面のまま尻ポケットに携帯をねじこんだ。
嘘だけど嘘じゃない
本来私は彼らが未来にいるなんて知らないし
その通り伝えたとして、きっと了平は今以上に安心なんてできない
「A、おわった?」
「うん、続けようか」
笹川京子が未来にいるなら沢田たちと一緒にいるはず
無事のはずだ。
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po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
たまご - いえいえ!ぽんかんさんのペースで大丈夫です!気長にお待ちしてます!あとTwitterフォローしてます!とってもファンです!!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: cfd662b50b (このIDを非表示/違反報告)
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