42.異変 ページ3
#kn side
朝起きると、足元に違和感があった。
何か乗っとる。
恐る恐る上半身を起き上がらせると、そこには大先生の白衣が置かれていた。
それも、血塗れの。
『やめろや…』
俺の布団にまで付いたらどうすんねん。
隣のベッドで眠る大先生を見ると、何故か布団も被らず倒れ込んでいる。
これは昨日何かあったな？
ht「もうそろそろ起きなよー。」
ちょうどひとらんが起こしに来たらしい。
その白衣を握ったまま、部屋の扉を開いた。
ht「あれ、今日はすんなり起きた。」
『なぁ、これ。』
ht「あー…」
ひとらんは困った様に白衣から目を逸らす。
何があったか知っとんのやな。
ht「コネちゃん。ちょっと大事なお話がある。」
食堂の前まで来ると、ひとらんがいつものように扉を開く。
今日は珍しく大先生と俺以外の全員が揃っていた。
tn「おはよう。シッマ。」
『はよーさん。』
os「とりあえず座ってな。」
『何や。また説教でもされるんか？』
朝だろうと、いつだって喧しいはずの俺たちが、今はまるで葬式のような空気になっている。
死人でも出たんか？
tn「昨夜な、城内で怪我人が出たんよ。」
『誰？』
そう言われて、俺は部屋の中をぐるりと見渡す。
今ここに居ないのは、部屋に居る大先生、国外に出てる兄さん、消えたグルッペン。
誰も怪我してないやんけ。
zm「Aやで。」
『ほーん。…で？』
いつもの席に座り、並べられた豪華な朝食を一瞥してからフォークを手に取った。
だが、食堂にいる幹部達は誰一人として動かない。
もう既に朝食を終えている奴でさえ動こうとしない。
どこか曇った表情で俯くだけだった。
sh「自分で自分の腹を切ったらしいで。」
『は？Aは何がしたかったん？』
em「昨日の夜色々あったじゃないですか。そのせいだと思いますよ。」
『めんどくさい女やなー…』
俺がそう言うと、トントンがいきなり此方を向いた。
俺は食べる手を動かしたままトントンを見た。
tn「あんまそういうこと言うなや。使用人とはいえ、Aもこの国の一員やぞ。」
『“母国”とかいうアホみたいな言葉を使う奴も、この国の一員になれるんやな。』
謎にピリピリとした空気が、黒くなった肺を通って息苦しくなった。
みんなが何度も溜め息を吐くもんだから、空気がどんどん重たくなってくる。
『使用人の一人や二人、居なくなったってそう変わらんやろ？』
tn「シッマなぁ…」
トントンは哀れむ様な顔をする。
何でや。
今までこんなこと言っても笑ってくれるだけやったやんか。
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らりるれろん(プロフ) - 更新停止ですか…ずっと待ってます。この作品がとても好きです、応援してます。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎまる - 好きです、こじれ具合とても好きです、応援しております。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
うめる(プロフ) - 好きです(唐突な告白) (2018年10月9日 1時) (レス) id: 78e56762eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もろと | 作成日時：2018年3月12日 23時
