48.宴 ページ9
#gr side
｢お戻りいただけるとは夢にも見ませんでした。｣
｢_____が戻ってきたんだから、この国も平和を取り戻すだろうな！｣
『そうですか。』
帰ってくるやいなや、大袈裟すぎるほどの歓迎を受けた。
軍の幹部や国の上層部、金持ち共が集まって盛大な宴が開かれる。
｢帰ってきてくれてありがとう。｣
｢この国も助かるだろう。｣
俺がいない間に軍の構成は大きく変わっていて、俺の事を毛嫌いしていたお偉いさん方はほとんど死んだか、引退したらしい。
だから俺が今まで育てていた部下達がなかなかの地位に立っている。
実に誇らしいことだ。
しかしな、
｢ずっとここにいて下さるんですよね！｣
それ以外にかける言葉はないのか？
希望、と言うよりかは、哀れな願いに見える。
誰も言葉にはしなかったが、｢この機会を逃してはいけない、この男を逃してはいけない｣という意思がふつふつと伝わってくる。
『生憎、俺には新しい住処があってな。明日の朝にはここを出る。』
宴の会場がしんと静まり返る。
まぁ分かってはいたさ。
簡単には帰らせてくれないんだろう？
｢………｣
『そろそろ荷物をまとめたい。今日は本当にありがとう。』
｢……そう簡単に帰すとお思いですか？｣
『帰らせてくれないのか？』
そういった彼は手に持っていたグラスをテーブルに置いた。
それに対して俺はシャンパンを煽る。
本物とかけ離れたまずい酒だ。
｢最近、とある国とかなりの友好関係を築いています。その国はいつも交渉人が違っていて、不思議なことに、それぞれその交渉人は人種も違う。それでも一つの国の住人だと言っていました。｣
『ほう。』
｢一人の商人が言っていました。その国の総統は“ドイツ人”である、と。｣
『…』
｢金色の髪を持ち、流れる血のごとく赤い目をしているんだとか｣
ぞろぞろと会場に武装した兵士が流れ込んでくる。
元から帰らせる気などさらさらないわけか。
男は片方の口角をあげて、ゆっくりと微笑んだ。
｢____殿｣
俺はすかさず右手を上げた。
その瞬間、窓を突き破って入ってきたのは、さっきとは違った軍服を纏った兵士たち。
俺の大切な駒。
すまない、俺も手ぶらで来たわけじゃないんでね。
男はそれを見て、より一層楽しげに笑う。
それに答えるように俺も笑ってみせた。
｢まさかその総統閣下とお会い出来るとは。｣
「しかしおかしいなぁ。｣
｢貴殿に流るるは、この国の血。｣
｢日本の血であるはずなのに｣
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らりるれろん(プロフ) - 更新停止ですか…ずっと待ってます。この作品がとても好きです、応援してます。 (2020年7月5日 10時) (
レス) id: 2108271c54 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎまる - 好きです、こじれ具合とても好きです、応援しております。 (2019年4月8日 19時) (レス) id: c595f3c6d5 (このIDを非表示/違反報告)
うめる(プロフ) - 好きです(唐突な告白) (2018年10月9日 1時) (レス) id: 78e56762eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もろと | 作成日時：2018年3月12日 23時
