3話 結ばれた繋がり ページ3
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｢…やっぱり貴方が何かしたんですか｣
ほぼ、確信していた。この男がなにかした。
でも、一体何を？
｢あぁ、そうだ。俺がお前を一時的に洗脳状態にした。｣
男は続ける。
｢だが、まぁ、お前と俺は先程"繋がり"を結んだからな。｣
男は怪しげに笑った。
｢洗脳？繋がり？何を言っているのかさっぱりですけど、やっぱりここで働くのは辞めます…私には出来ない。それじゃ｣
そう言い残し男に背を向ける。
｢そう言うな。少しお茶でもしようじゃないか｣
気がつけば私は、椅子に座って片手に紅茶カップを持っていた。
｢またなにかしたなっ！！｣
戸惑いと怒り。
男はそれを愉悦した。
｢1つずつ順を追って説明してやるから、黙って聞いていろ。ではまず我々の正体から｣
男は意味ありげにこちらを見る。
____私たちは吸血鬼だ。
ガタリと音を立てて椅子が倒れる。
衝撃のあまり椅子から崩れ落ちたせいだ。
｢吸血鬼なんて嘘だ…、
だって、それはもう何年も前に絶滅した！｣
｢だが、我々は生きている。｣
試しに血を吸ってやろうか？
なんて、鋭利な八重歯を見せつけながら言う。
戸惑いや怒りが一気に恐怖へ塗り替えられる。
｢そう怯えるな。まだ話は終わってない。次に繋がりについてだ。｣
｢繋がりとは、己と他者との縛りのようなものである。
吸血鬼との繋がりは絶対であって、嘘をつくことも出来なければ、その繋がりを切ることも出来ない。
まぁ、簡単に言うと契約書みたいなもんだ。
それは口でYESと言えば完成する｣
…待てよ、ということは
私は先程この男と、
この館の主人と、この館の清掃員
という繋がりを結んでしまったということ…？
｢気がついたようだな。つまりお前はもう清掃員という契約を俺と交したんだ。｣
心底楽しげに笑う男の声がノイズで仕方なかった。
ここで働くことになってしまった。
それも、吸血鬼の館で、
｢これからよろしくな？清掃員さん。｣
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作者名：塩田 | 作成日時：2022年5月15日 1時
