三言 ページ4
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『お、お邪魔します……。』
「どーぞー。」
お兄さんの家は住宅街に立つアパートの一室で、中は綺麗とはまぁ云えなかった。
汚くはない。
けど綺麗でもない。
適当に座って、と云われたので炬燵テーブルに腰掛ける。
「つまみ物、如何する?」
『何でも良いですよ。』
「チューハイか………此れで良いか。」
そう云って冷蔵庫から幾つかのつまみを取り出す。
それらと同時に机に置かれたのは…日本酒かな、若い筈なのに渋いものを好むのかもしれない。
「乾杯しようか。」
『…何にします?』
「う〜ん…結婚記念日?」
『まだ其れ続いてたんですね。
…では……自分達の今日の頑張りで如何でしょうか?』
「其もそうだね。」
グラスと缶がコツンと弾ける。
今日の自分に乾杯。
大変、だったなあ……。
しみじみと身に染みてくるこの感情は何度目だろうか。
『あ、そう云えばです。』
「…?何だい?」
『プロポーズですが、断らさせて頂きますね。』
云うの忘れてた。
この儘忘れていたらどうなったことか。
すると太宰さんはまた微笑んで、「そっか」と其だけ云った。
でも、今のは少し悲しそうって感じた。
『お互い、初対面ですし、そんな出逢って一時間もしてないのに結婚は……一寸、と思いまして。』
「其れは其で面白そうだけど…………まぁ其が普通だからね。」
『ですので、』
流石に結婚は無理。
だって人生を一緒に歩む人は時間を掛けて決めたいんだから。
けど、
『お付き合い、という形なら私は是非と思います。』
私って莫迦だから。
人が折角好意を持ってくれたなら其を受けなくちゃならない。
そう思ってくれる人が沢山いるって訳じゃないから。
私がそういうとお兄さんはまた目を見開いて、綺麗な瞳を驚きで染めていた。
そして、一つ尋ねられる。
「君、"優しくて単純"って良く云われない?」
『え"………………何ですか判るんですか…………。』
「その言葉を丸々写したような人格を君がしているからだよ。」
彼に初めて、呆れられた(?)
けど、
「でも、やっぱり可愛いね。
そんなの此方から喜んで、だよ。」
彼はそう云ってまた私を口説く。
やっぱり、何だか嫌いになれないな。
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関連一位、総合7位ありがとうございます!
消すかは迷ってます…
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白ちゃん - 面白かったです。 (2022年7月21日 18時) (レス) @page13 id: 0a2f8cc4e7 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^ほのぼのしていて、癒されました^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2019年4月8日 21時) (レス) id: 406c27ad01 (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2019年3月29日 20時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
博識のうさぎ(仮)(プロフ) - かんりりさん» ありがとうございます!! (2019年3月29日 20時) (レス) id: 311cf89819 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - 更新頑張ってください。楽しみにしてます (2019年3月29日 20時) (レス) id: 2688fc176f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:博識のうさぎ(仮) | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月20日 19時