虹がかかる空に＊4＊ (ページ48)

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崇裕side

濵「あぁー、やってもうた！！」

週3回の透析に来てんけど思わず大きな声出してしまって、慌てて看護師さんが飛んでくる

神「ちょ、濵田さんうるさいですよ！静かにしてください！」

濵「やってさぁ…」

神「わかった、わかった聞いたるから」

そう言うと、お見舞いの人用の椅子を引き寄せて座る看護師の神山くん

俺より歳下やけど結局仕事できる人で、俺の愚痴もよう聞いてくれるから頼りにしてる

透析が終わるまでまだまだかかる、時間はたっぷりあるし。

神「なるほど…まぁその人がどんな気持ちで言うたんかは分からんけど、過去になんかあったんちゃうかな、その人も」

濵「そうなんかな」

神「多分そうやろ、濵ちゃんと同じくらいの歳で高校入学するって相当訳ありやで多分」

濵「まぁ…普通に考えたらそうか。こんな歳まで高校行ってないって珍しいもんな」

神「にしてもそれは言い過ぎかもな」

濵「やっぱりそう思う！？
やってもうたなぁ…なんかスイッチ入ってしまってさ…」

神「今度会った時謝ったらいいやん、大丈夫やって、濵ちゃん良い人オーラ出てるから許してもらえるって」

濵「わかった、次会えた時謝ってみるわ。
ありがとうな神ちゃん」

神「いえいえ、これも仕事やからな」

そうやって笑う神山くんはいつも優しい、年上の俺にも気兼ねなく話してくれてこの透析の苦痛な時間が紛れる

隣でいつも透析受けてたおばちゃんも、おっちゃんも、高校生くらいの歳の子も次々といなくなっていく

俺は元々、透析に頼らないと生きていかれへん身体やけど

これさえなければって何回恨んだか。

俺もあちら側の人間になってもおかしくないし、やっぱり怖い

神「そんなことより、濵ちゃん来週の研修旅行どこ行くん？」

濵「えーっとな、なんか山ん中らしい」

神「いや、えらいザックリやな！
泊まりやろ？行くならちゃんと先生の許可もらってからやで？」

濵「そうやんなぁ…」

わかってはいるけど、泊まりなんか今までしたことないし先生の許可が出るかもわからん

でも、病気で出来なかった青春取り戻したくて高校入学したし

できる限り、たくさん思い出作りたいから

絶対、行事には参加したいな。