96 ページ6
No Side ピンクあるかもしれません
メイは、ファーに秘密をおひとつだけ打ち明けると、急に意識をなくした。ファーは、驚きながらも、メイを近くのベッドまで運び、横たわらせた。
メイ 「ファー......。」
部屋を出て行こうとするファーを、メイが止める。否、寝言で止めた。本人に悪気は一切ない。
ファー『メイ、大丈夫だよ。』
ファーはメイの手を摑んで握り、それから部屋を出た。後ろ手に扉を閉め、ファーは呟く。
ファー『好き、なんて......。嘘、だよね?それに、ボクには大切な人が居るから。......?大切な、人?』
俯きながら呟いていたファーの顔のすぐ左に、視界の端で手が見えた。ドンっと大きな音を立てて。所謂、壁ドンである。
エレク「ファーのー、大切な人ってー、誰ですー?佳音?太宰治?中原中也?織田作之助?アンドレ・ジイド?尾崎紅葉?坂口安吾?メイ?」
エレクは段々早口になりながら、エレクの特徴ともいえる首の傾き、語尾の伸ばしをなくし、一心にファーを見続ける。
エレク「違うだろ?ファーは、Aのことは、本当は僕しか深層心理を知らない。何もにもAの事を知らない奴がAの事好きって云えるか?本名も知らないのにだよ?言えないね。Aは知らないかもしれないけど、僕は____様よりもAを愛してた。____様がAを見つける前から、僕はAに恋してた。なのに、____様が僕からAを奪うからっ......!ねぇ、Aの前だから云うけど、僕はメイが嫌いだ。大っ嫌いだ。メイがイライラするように態と語尾を伸ばして話してたけど、あいつは全然怒らない。あまつさえ、僕からAを取ろうとしてる。」
ファー『えれ、く......?』
エレク 「僕の本名はエレクなんかじゃない。だけど、Aにだけは知っててほしいな。僕の本名は、____だ。」
エレクは、ファーの顎を片手でつかみ、自分の方に寄せる。
エレク「A、僕の事だけを、見て??」
ファー『んなっ。んっ......んっ......んんっ!』
エレクはファーに、深く口付けをする。ファーのことを考えずに、ずっと、ずっと、ファーの口内をかき乱す。顎を支えていた手を頭の後ろへ回し、自分の顔に近づける。壁を触っていた左手はファーの腰へ。
ファー『んっ......んんっ!!』
ファーの目に生理的な涙が浮かんでから、エレクは気が付いたようにファーへの口づけをストップする。ファーは腰に力が入らなくなったようで、エレクに倒れこむ。
エレク 「大好きだよ」
55人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2021年4月1日 19時