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安吾 Side
首領にAさんが居なくなる瞬間の映像を見させてもらった。Aさんが落ちたと思われる地面は何も手がかりがなかった。
そう、あり得ないほどに何も。
なら、Aさんは如何なったのだろう。どんなカラクリが有るのだろう。そう思いながら、Aさんが最後に目撃された太宰君の部屋に慎重に足を踏み入れた。
安吾 「太宰君、Aさんが居なくなってから何か物を動かしましたか?」
太宰 「いいや。動かしたものはないよ。触ったものなら有るけどね。」
安吾 「そうですか。それなら良かったです。」
そう云ってまずは部屋の中央にある執務机に向かう。その上には万年筆と、真っ黒になった黒い紙が置かれていた。
安吾 「うっ......。」
紙を触ると、物凄く大量の情報が流れてきた。とてもではないが僕には難しいと判断し、当初の予定通り太宰君に紙を渡す。
安吾 「少し触っただけでも結構な情報量です。直ぐに取りかかった方が良いかと。」
太宰君は紙を受け取ってから少しだけ動きを止めてゆっくりと口を開いた。
太宰 「もう少しだけここに居るよ。此処に居ても読める文字は有るしね。......ただ、顕微鏡を買わなきゃ。昔誰かさんに壊されちゃったしね。」
中也 「んなっ!それ龍頭抗争の時だろ!?アレは仕方ねぇ!手前が其処に手掛かりを残してやがったから壊すしか無かったしな。」
太宰 「はいはい、煩い煩い。指揮任されたのなら此処じゃなくて違う場所に行けば良いでしょ......。私に従順な犬のようについてこなくても大丈夫なのだよ?君は牧羊犬だから。」
中也 「手前、ぜってぇぶっ殺す!!」
中也君は太宰君に悪態を吐きながら部屋を出て行った。
安吾 「さぁ、始めますか。」
次に万年筆を触る。Aさんが紙に書く時使っていた物だ。先程の紙程では無いが、情報量が多い。
安吾 「緊迫した様子ですね。ずっと書いてる間に何かに抗うよう呟いています。」
太宰 「手掛かりになりそうな事はあるかい?」
安吾 「慥かとは云えませんが、ホトトギス、徳冨、と云う言葉を何回も書いているようです。」
太宰 「またしても徳冨関係かい。」
Aさんを徳冨から救出した際、大体のホトトギスメンバーは特務課に捕まった。大体、である。
捕まっていないのは我々が把握しているだけでも3人。それも数少ない異能力者だ。
......捕まっていないのは異能力者?
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作成日時:2021年4月1日 19時