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No Side
ある日、ファーと名付けられた少女と緑髪の男、エレク、赤髪の男のメイは建物内を歩いていた。
メイ 「目が見えんでも歩いとれば判るもんや!」
と、言い張るメイの下、建物案内が始まったのだ。
エレク「僕はー、疲れたんですけどー?メイー。」
歩き始めて早5分。ちゃっかりファーと手を繋ぎながらメイの後ろを歩いていたエレクが早くも音を上げた。
ファー『大丈夫ですか、エレク。俺と一緒に休みます?』
数日前よりも滑らかにファーはエレクに話しかける。身長の差でファーは自然とエレクを上目遣いで心配する形となった。
エレク「流石はファーですー。僕の気持ちを代弁してくれましたー。そしてその上目遣いー、可愛いですー。」
ファー『お褒めに頂き光栄です。』
エレクとファーが仲良く会話をしているのを見て、とうとう見かねたメイは急に叫ぶ。
メイ 「っっっだぁぁぁ!!エレク、何ファーを使って休もうとしとるんや!っちゅーかワシもファーと話したいんよ!ワシもファーと話したいんじゃあ!!」」
急な大声に一瞬エレクは肩を振るわせる。ファーは判らないとでも云いたげに首を傾げた。
エレク「えー。判りましたー。」
渋々とエレクは屈んで、ファーより少し低い位置までしゃがむ。そして、ファーの目元に数秒手を当て、離した。
メイ 「こ、こんにちは!!」
エレクがOKと云ったのでメイは勢いよくファーに向かって綺麗なお辞儀をかます。
ファー『お前、自分の立場判ってるの?』
メイ 「へ!?」
メイが予想していた返答とは打って変わり、戸惑うがメイはお辞儀したまま少しずつ顔をファーに向ける。
ファー『今こうして俺に謁見してるだけでも光栄なのにさ、何勝手に俺に話しかけてるの?知らなかった?こう言う時は俺が話しかけても良いと言うまでお前は話しちゃいけない。この常識知らないだけでもお前は人間失格だよ。』
ファーの毒舌が止まった処で、何時の間にか土下座をしていたメイは目線だけでエレクに話しかける。
メイ (エレク!!何やこのファーの毒舌は!あんさんの所為やろ!?)
エレク(だってー、メイはー、“いつか標準語の奥さんつくって尻に敷いてもらうんや!”ってー、云ってたじゃないですかー。)
メイ 「もう嫌やぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
メイの本日2度目の叫びは哀しいかな。誰の心にも響く事はなかった。
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作成日時:2021年4月1日 19時