始まりと出会いと。 ページ5
「新入生、入場!」
アナウンスと共に豪快に開かれた扉を次々と頭をくぐらせ、やっと自分の番となり、歩く速さをいつもよりも遅く、そっと歩いた。
聞き覚えのある音楽が流れ、拍手の音が鳴り響いている。
左みても知らない顔。右みても知らない顔。
親友の苗字が【か】から始まるため、私よりも先に入場している。
普段なら振り返って手を振るなりするのだが、流石に見知らぬ人ばかりのこの場では私の方には見なかった。
自分の位置について、じっ…と姿勢を保つ。
…後ろで「…うわっ!!」といてドシャッ…とおそらく転けたのであろう音がしていたが、気にしない気にしない。
「新入生、着席。」
全員が揃い、先生から着席の合図が出る。
そこからは長い長い意味のない話しが続いたのでここは省略とする。
長ったらしい話も終わり入学式も無事に終了した。
私と親友は幸い同じクラスで1年A組だった。
A組ということは進学クラスだ。ABCまで進学クラスで、DEFまでは普通クラスだ。Gクラスは問題児が
集められたクラスだと聞いた。
…まぁ、まとなクラスでよかったと内心すごく思った。
自分の席に着いて、落ち着いて息を吐いた。
辺りを見回すと、真面目そうな人ばかりで安心し…
あっ、今朝のチャラそうなヤンキーぽい人いたぁ…!?
『(関わりたくないランキング一位っ…!!)』
ちょっとだけ席が離れているため、絡まれることはないだろうと少し安心する。
「はじめまして!」
声をかけてきたのは先程空いていた隣の席の人だった。
「なんだか新鮮な感じがするよね!…あっ、僕森井春日ていうんだ!宜しくね!」
スッ、と手を差しのべてきた。
『私は水無川A。…こちらこそよろしくね。』
その手を私が握り返した。
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作者名:アマミヤ | 作成日時:2023年8月18日 11時