地縛霊 ページ34
…雨だ。ザーザーと激しく降り注ぐ雨粒が、地面に勢い良くあたる。
「さっきのガキとヤローが気に食わねぇ。」
『まぁ、岳くんは思春期まっしぐらだし仕方ないよ。…八代さんはちょっと怖いけどね。』
部活の時間も終わって、爆寨くんと一緒に下校をしいた。
「…あいつらと仲良くするなんて死んでもやだわ。」
『んー…、困ったなぁ。』
どうしたらあの二人と仲良くなれるか悩んでしまう。
これから味方になるし、仲悪ければ連携も取りづらいだろうしなぁ。
「すみません！」
『え？』
誰もこの道に居ないのに、声が聴こえた。
『爆寨くん、何か言った？』
「阿呆か、なんも喋ってねぇだろ。」
『うそん。…空耳？』
「空耳じゃないですぅ！！助けて下さいっ！！」
声がした方を見ると壊れた壁の破片に埋もれた人の姿。
『人が生き埋めになってるっ…！！！』
すぐさま瓦礫をどけて、その人の頭が出てきた。
頭を一生懸命引っ張り出して、全身が抜ききったところで息を切らした。
「こいつ、体透けてるじゃねーか。」
に、人間…？確かに透けてるけど…。
「ごめんな、俺人間じゃないんだよね。…幽霊っていうかどちらかと言えば地縛霊？てやつかな。」
てかなんで埋まってたんだこの霊。
「老巧化が原因で建物が崩れちゃったみたいでさ…、俺ここから動けないし避けきれなかったんだよね。…助けてくれてありがとうね。」
握手をされ、嬉しそうにするその霊。
『名前はなんていうですか？』
「名前か、…とっくの昔に忘れたな。…どうやら俺はここの建物の建設に関わってたみたいだし…なんでも呼んでくれていいかな。…��ヘルメット��とか。」
『じゃあ、ヘルメットさんでよろしくですね。』
「嬉しいなぁ、死んでから俺が視える友達居なかったんだよね。」
ヘルメットさんはとても嬉しいようだ。
「…水無川、行くぞ。」
爆寨くんに引っ張られ、無理やり歩かさせられた。
『すみません！また会った時お土産持ってきますね！』
「…！ありがとう！」
ヘルメットさんに手を振って、前を向いた。
「…よく気付いたな、俺なんも聴こえてなかったぞ。」
『んー？虫の知らせってやつなのかな？』
「…そーか。」
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作者名：アマミヤ | 作成日時：2023年8月18日 11時
