政略結婚かと思ったら、恋愛結婚でした【梵天】

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ご尊顔でした。

初の顔合わせの日のことだった。スーツを着こなし高級レストランで席についている姿は、はっきり言ってどこの事務所のモデルだよと聞きたくなるレベルだった。

そんな不純な気持ちはおくびにもださず、お互い挨拶を済ませた。両親は途中まで付き添っていたが、あとは若いもの同士で、と謎の気遣いを残して去っていった。

ちなみに佐野万次郎さん、両親はいないらしい。代わりにNo.2と名高い･･･三途と言ったか、ピンク色のド派手な髪色をした人がついていた。

その人もどこかに行ってしまった。

「(何話せばいい？)」

率直な疑問が浮かび上がる。結構切実。
相手マフィアなんだから職業について聞くのはNGかな、かと言って趣味聞いて「あぁ、爪を剥ぐことかな」とか言われたらどんな反応したらいいのかわかんないよ。ぐるぐる目まぐるしく思考して、ついには停止した。

もぐもぐと拘りのドレッシングをかけたサラダを頬張る万次郎さん。

もう当たって砕けろ精神で全てを諦め、なにか質問しようと思った。
とりあえず会話をしよう！！

「あの、万次郎さんは好きな食べ物、とかありますか？」

いや小学校の自己紹介かーい！！と自分でした稚拙な質問に羞恥で死にたくなる。

当の本人は未だにもぐもぐとレタスを咀嚼している。ごっくん、と飲み込んだように喉仏が動いた。

「･･･マイキー」

「はい？」

「マイキーって呼べ」

「わかりました」

クエスチョンマークが脳内を埋め尽くす。

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