【d!】許嫁とか古いでしょ【shp】 (ページ19)

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薄い水色の生地に、群青色の大ぶりの花が咲いた浴衣はお気に入りだった。
自分の部屋をひっくり返して探し回ってやっと見つけた一着。

約束している時刻は午後6時。あと1時間だった。
お母さんに浴衣を着付けてもらって、編み込みのアップヘアをしているとあっという間に時間は過ぎていく。
メイクもしっかりして、最後に変なところがないか鏡の前に立って、忘れ物もないか確認して･･･。

支度は終わり。時計を見ると針は50分を指していた。

｢間に合わない、お母さん送って！！｣

ええ、とお母さんが困惑しながらキッチンから出てきた。
ばたばた車に乗り込んで、発進。

ゆらゆら後部座席で揺れながら、チーノくんに見合うだろうか、なんて考える。
チーノくんは正直だいぶ整った顔立ちをしているから、私なんかが隣に立っていいものか不安だ。
チーノくんを好きな女の子もいるだろうに。

車が止まって、待ち合わせの場所についた。お母さんに迎えは歩きだからと伝えて別れる。

チーノくんはまだ来ないかな。そろそろ時計の針が6時0分を指そうとしていた。