10億で反社に買われました。【梵天】

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時は数時間前に遡る。

運良く少しだけお金が手に入ったので、貧民街から都市に出向いてきた。

人混みの中、手持ちのお金で買えるものを物色していた際、後ろから何者かに殴られて昏倒。
目覚めた場所はオークションの会場の裏手だったという訳だ。

貧民街に住む子供達は狙われやすい。子供なら抵抗出来ないし、届け出る保護者も録にいないからだ。だから、自分の身は自分で守らなければならない。一般家庭の子供のように、いざとなった時周りに味方が居ないから。

何度か誘拐されて、オークションに出品されかけた経験はあったが、いつも既(すんで)のところで逃げ出してきた。しかし、今回はそうもいかなかった。如何せん、目覚めるのが遅すぎた。

冷たく硬い石畳と、石壁、それに鉄格子が嵌った窓で形成された個室。その上手錠と足枷。

意識が無い間に着せられたであろう簡易な白いシャツとズボンは、防寒性がなく私の体温をゆるやかに奪っていく。
重たい手錠と足枷は私の動きを制限する。

自分で思う人生の終わりに直面したことは何回かあったけれど、その時だって何とかなった。でも、今度こそ私の本当の終わりだ。
オークションに出品されたら、十中八九人間らしい生活は保証されない。


なんだか頭が回らなくなってきた。何らかの薬を打たれたのかもしれない。



そして、視界がフェードアウトした。

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