とある詐欺師2「福沢諭吉様から何故か構われているけど、何で？」 (ページ40)

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えぇページ40

男「……」
　今居る探偵社員達は国木田、中島、江戸川、潤一郎、ナオミ、春野、賢治、鏡花そして福沢。
切り出したのは乱歩だった。
男が付けているお面について福沢に問う内容だった。
お面は非常に精密で凸凹のある現実の人間の顔だ。
よくよく見ないと細胞で作られてないと判断出来ない。
福沢は学はある方ではあるがお面に関しては知らなかった。
国木田「お面を被っている理由は分かったが、誰をモデルにした？明るくハキハキした印象だが。」

(Answer、松岡○造)

服は普通の。
顔に着いたペンキは与謝野が何とかしたが、その後中島は顔を一気に青ざめた。
無理も無い、男の正体は

院長だから

中島「何故、貴方が此処に。」
絶望した表情を浮かべる敦に対して院長は瞼を重く伏せる。
中島「帰ってください。」
院長は引き下がらない。
同じく敦もだが、繰り返し発言していく内にヒステリックになる。
しかし、誰かの鶴の一声で止んだ。
探偵社員ではない。しかし探偵社員達は聞き覚えがあった。
予想通りに黒髪の男だった。
「恩返しが出来ない。私は彼に川で救われましたから。」
入り口に現れたのは警察関係の実力が高く、多くの事件に関わってきた者だ。
男の名前は…

箕浦だ。

　全員の探偵社員達が驚愕の表情を浮かべる。
社長程では無いが貫禄のある、鋭く威厳のある表情で話をする。
箕浦「判ってると思うが、トラックに轢かれそうになる所を助けたのは俺だ。其の時、彼はお前の写真に丸と捜すを書いてあり銃を持っていた。」
中島の顔は更に青いを通り越して白くなる。
箕浦「俺の勘ではお前を激励する目的であるとみた。」
敦は嘘だと叫ぶ。
強く否定する敦に対して、箕浦は冷静である。
箕浦「だったら彼の目には憎悪がある。其れが無かった。なら簡単な事だ。」
箕浦は笑みを浮かべて「非道をしたが育てた親として、正しい方に進んだ子を褒めにきた。」と優しく云った。
敦は目を震わせながら院長を見る。

院長「敦、良くやった。」

今の事が成り立っていたのは、悪を教え、善への道標にする為。虎であるのを秘密にしていたのは生きて、他を救っていく為。
全部、敦の為だ。
箕浦「許せとは云わない。だが、彼なりに、お前の為だった。」
敦はゆっくりと俯き、雫を流した。

その空気は父親と子が温かくふれあい、流れているようだった。

江戸川「何で溺れたの？」
箕浦「首に錘(おもり)を着けられたら泳げないだろう。」
確かに。