第2話 ページ4
エメラルド宮・アタナシアの部屋。
いつものようにリリアンに起こされたアタナシアは
朝の挨拶に行くため,支度をしている。
侍女達がどのドレスがいいか,
アロマやハーブはどうするか,
髪型やアクセサリーは?
などなど,忙しなく動いているのを横目に,
アタナシアは昨日の事を思い出していた。
「ヒルアートの使節団が?」
「はい姫様。国同士の親交を深めるために,国王陛下と皇帝陛下が取り決めになりました」
「それで…私はいつものようにしていればいいの?」
「いえ,陛下のご命令で,姫様には使節団をもてなす宴を仕切って欲しいと…」
「私が!?」
宰相が珍しく私の元を訪ねてきたと思ったら…
朝から憂鬱なアタナシアは、思い出してまた溜息をついた。
一応,宰相が手伝ってはくれるらしいが,
アタナシアはプレッシャーですでに大変なことになっていた。
「はぁぁぁ…」
「溜息など…姫様には似合いませんよ〜」
「うぅ…リリィ〜,助けて〜!」
ドレスなど選び終えた侍女達は,
それぞれの仕事をこなしてまだ動き続けている。
リリアンは,アタナシアの髪を結っていた。
「助けを借りてもいいのなら…陛下に助言をお願いしてみてはいかがですか?」
「パパに?…うーん,分かった。そうしてみる」
「私達にも何かできることがあれば,いつでも仰って下さいね」
「うん,ありがとう」
少しは緊張がほぐれたのか,表情に余裕が戻ってきた。
リリアンは,会話の間に髪を結い終わると,
メイクが付かないようにパッパッとアクセサリを付けた。
丁度支度が終わった時,
扉をノックする音が聞こえた。
「失礼します。おはようございます,姫様」
「フィリックス!おはよう」
仮ではあるが,護衛騎士のフィリックスと数名の侍女と共に
ガーネット宮へ向かった。
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作者名:宇宙 | 作成日時:2021年1月13日 2時