永遠なんて誓えないけれど。 (ページ3)

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第1話ページ3

オベリアのエメラルド宮には，
美しく愛らしい姫が暮らしていた。
姫の名は，アタナシア。

この物語は，彼女の侍女と護衛騎士のお話である。

アタナシアの専属メイド，リリアン＝ヨルク。
彼女は，最近悩んでいることがあった。
それは…

「まただわ…」

彼女の視線は，窓に注がれている。
そこには、メッセージカードが添えられた花束が。
一ヶ月ほど前から届くようになったそれは，
白百合の花束とメッセージカード。

メッセージの内容はほぼ同じ。

リリアンに対しての求婚だった。

しかし，返事をしようにも差出人が不明だった事と，
皇宮にも実家である伯爵邸にも，それらしい人物は訪れなかったため，
イタズラだろう…と，特に気にしてはいなかった。

「城の方かしら…」

どちらにしろ，警備に報告したほうがよさそうだ。
そう考えたリリアンは，花束を手早く花瓶に移すと支度を始めた。

まさか，これが大変なことになるとは…

誰も予想できなかった。