Crazy moon 〜宴のハジマリ〜 【浦/島/坂/田/船】

episode.14 ページ14

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｢…つれない人やねぇ。うらたんの趣味が分からんわ｣





身代わりは自分のパートナー(婚約者)になるんやけどなぁ、と呟きながら顔の包帯を巻き直す。志麻くんも僕も一回死んで腐敗しそうになったのだからか、臭いはだいぶキツい。人間になってもその腐敗臭は消せないものだ。


その臭いは香水で消すのだけれど。
そのせいなのだろうか。女共が興奮して寄ってくるのは。




(ほんまに、鬱陶しい)






｢うらさん、獣臭すんで｣



｢マジか……坂田はいいよな。賢者だからなんもねぇし｣




うらさんはルシフェルだか、天から追放される際に臭いをつけられたそうだ。天にはないと言われる独特な獣臭をつけることで、もし天に来た時には抹殺出来るようにしているらしい。天は、恐ろしいところだ。本人はあんなとこ二度といくかよ、と言っているが。



因みに、坂田は賢者の為何も臭いはない。むしろ、ハーブの匂いがする。怪物にとってはハーブの匂いは好むものではないけれど、人間には人気らしい。




｢……まーしぃ？｣



｢んぁ？ …ああ、わりぃわりぃ。次のプログラムの発表準備できたぞ｣




坂田の一言で我に返った志麻くんは僕らに台本を渡して、ステージへのカーテンを開けた。



｢お、志麻サンキュ。 ……さて、始めるか｣



船長(リーダー)の言葉に引き寄せられるように皆は一斉にステージへと出る。




ここからが、求婚パーティーの始まりだ。




(いや、吸魂のほうが正しいんやろうねぇ…)

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